親の様子が、少しおかしい。同じ話を、何度もする。
「年のせい」なのか、「そうではない」のか。
リハウルフこのチェックリストは、認知症を診断するものではありません。
認知症の診断は、医師にしかできません。このページでできるのは、「受診したほうがいいかどうか」の目安を持つことだけです。
当てはまっても、「認知症だ」と決めつけないでください。逆に、当てはまらなくても、心配なら受診してください。判断するのは、あくまで医師です。
まず知ってほしい|「物忘れ」と「認知症」は違います
年を取れば、誰でも物忘れはします。それ自体は、自然なことです。
問題は、その物忘れが「加齢によるもの」か「認知症のサイン」かです。見分ける手がかりが、あります。
| 加齢による物忘れ | 認知症の物忘れ | |
|---|---|---|
| 忘れ方 | 体験の一部を忘れる 朝ごはんの「メニュー」を忘れる | 体験そのものを忘れる 朝ごはんを「食べたこと」を忘れる |
| 自覚 | 忘れた自覚がある | 忘れたこと自体に、気づかない |
| ヒント | ヒントがあれば思い出せる | ヒントがあっても思い出せない |
| 日常生活 | 支障はない | 支障が出てくる |



セルフチェック15項目
最近半年〜1年の様子を思い出しながら、当てはまるものを数えてみてください。
- 同じことを、何度も言う・聞く
- 約束や予定を、忘れるようになった
- しまった場所を忘れ、「盗られた」と言うことがある
- 財布や鍵を、よく探している
- 最近の出来事を、思い出せない
- 料理の味付けが変わった、レパートリーが減った
- 同じものを、いくつも買ってくる
- お金の管理が、あやしくなった
- 季節に合わない服を着る
- 電化製品やリモコンが、使えなくなった
- 今日が何月何日か、分からなくなる
- 慣れた道で、迷うことがある
- 親しい人の名前が、出てこない
- 怒りっぽくなった、頑固になった
- 意欲がなくなり、趣味や外出をしなくなった
チェックの結果を、どう受け止めるか
大前提として
該当した数で、認知症かどうかは決まりません。これはあくまで「受診を考える目安」です。数の多さより、「以前と比べて、明らかに変わったか」が大切です。
| 0〜1個 | いまは、大きな心配はいらないかもしれません。ただし、変化を感じたら、また見てください |
|---|---|
| 2〜4個 | 一度、かかりつけ医に相談を。加齢の範囲かもしれませんが、確認しておくと安心です |
| 5個以上 | 早めに、もの忘れ外来などの受診を検討してください。「気のせい」で済ませないほうがいい段階です |



なぜ「早く受診」なのか|3つの理由
「どうせ治らないなら、受診しても意味がない」——そう思う方がいます。それは、違います。
- 「治る認知症」があるから
実は、治療で改善する可能性のある病気が、認知症のような症状を起こしていることがあります。
正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺の病気など。これらは、見つけて治療すれば、症状が改善することがあります。受診しなければ、この可能性を見逃します。 - MCI(軽度認知障害)の段階かもしれないから
認知症の手前に、MCIという段階があります。国立長寿医療研究センターによれば、MCIの方は、1年で約16〜41%が正常な状態に戻るとされています(一方で、認知症に進む方もいます)。
「まだ引き返せる可能性がある段階」で気づくこと。これに、大きな意味があります。 - 家族が、準備できるから
診断がつけば、介護保険の申請、制度の準備、財産の管理——先手を打てます。
特にお金の手続きは、判断能力があるうちにしかできないものがあります。進行してからでは、選択肢が減ります。
正直に、お伝えします
「早期発見で、進行が必ず止まる・治る」とは言えません。認知症の多くは、進行性です。
でも、早く気づくことで「できることが増える」のは、確かです。治療、準備、そして家族の心構え。その時間を持てるかどうかは、大きな差になります。
何科に、行けばいいのか
| まず相談するなら | かかりつけ医 普段の様子を知っている。紹介状も書いてもらえる |
|---|---|
| 専門的に診るなら | もの忘れ外来/認知症外来 物忘れを専門に診る外来 |
| 診療科でいうと | 神経内科(脳神経内科)/精神科/老年科 など |
| 相談だけなら | 地域包括支援センター/認知症疾患医療センター 「どこに行けばいいか」から相談できる。無料 |
どこに行けばいいか分からなければ、まず地域包括支援センターに電話してください。無料で、地域の医療機関を教えてくれます。
親が受診を嫌がるとき
これが、最大の壁です。「私はボケてない!」と、怒る。
当然です。誰だって、認知症を疑われるのは怖い。プライドも傷つく。だから、正面から「認知症の検査に行こう」と言っても、うまくいきません。
- 「認知症」という言葉を、使わない
「健康診断のついでに」「最近、私も物忘れがひどくて、一緒に診てもらわない?」
本人の不安を、あおらない言い方を。 - 身体の不調を、入口にする 「めまいが心配だから」「血圧を診てもらおう」。身体の受診なら、抵抗が少ない。その流れで、医師に相談できます。
- かかりつけ医に、先に相談しておく これが、いちばんスムーズです。普段の受診のときに、医師のほうから「物忘れの検査もしてみましょうか」と切り出してもらう。家族が言うより、先生が言うほうが、はるかに受け入れられます。
- 本人のプライドを、絶対に傷つけない 人前で「ボケてきた」などと言わない。本人の尊厳を守ることが、その後の関係を守ります。



診断がついたら|家族が、まずやること
- 要介護認定を申請する 認知症も、介護保険の対象です。「身体は元気だから」と諦めないでください。認定を受ければ、デイサービスなどが使えます。
- 地域包括支援センターに相談する これからの、いちばんの相談窓口です。
- お金の管理を、早めに考える 認知症が進むと、本人の口座が凍結され、お金が引き出せなくなります。成年後見制度や家族信託は、判断能力があるうちにしか使えないものがあります。早めに検討を。
- 家族だけで、抱え込まない 認知症の介護は、長く続きます。最初から、プロと制度を頼る前提で進めてください。
家族の心も、守ってください
親の変化に気づいたとき、家族もつらいのです。
しっかりしていた親が、変わっていく。その悲しみは、簡単には受け止められません。「なんで分かってくれないの」と、つい強く当たってしまうこともある。
それは、あなたが悪いのではありません。誰もが通る道です。
ひとりで抱えず、同じ立場の人と話してください。地域には「認知症カフェ」や「家族会」があります。「うちだけじゃない」と思えるだけで、少し楽になります。
よくある質問
- チェックに当てはまりました。認知症でしょうか?
- このチェックだけでは、判断できません。診断は医師にしかできません。当てはまる項目があり、以前と比べて明らかに変化しているなら、受診を検討するサインです。「決めつける」のではなく「診てもらう」ことが大切です。
- 物忘れ以外に、注意すべきサインは?
- 「意欲の低下」と「性格の変化」は、見落とされがちです。趣味をやめた、外出しなくなった、怒りっぽくなった。「うつ」や「頑固になっただけ」と思われて、発見が遅れることがあります。物忘れだけでなく、全体の変化を見てください。
- 受診しても、治らないなら意味がないのでは?
- 意味はあります。まず、治療で改善する病気(正常圧水頭症など)が隠れている可能性があります。また、MCIの段階なら、正常に戻る方もいます。そして、診断がつけば、介護保険やお金の準備を、早く始められます。
- 認知症は、予防できますか?
- 「確実に予防できる」とは言えません。ただし、生活習慣病の管理、運動、人との交流、活動的な生活などが、認知機能の維持に良い影響を与える可能性が指摘されています。「これをすれば絶対大丈夫」という方法は、現時点ではありません。不安な点は、医師にご相談ください。
- 遠方に住んでいて、様子が分かりません
- 帰省したときに、冷蔵庫の中(同じものが大量にある、腐ったものがある)、家の様子(散らかり方)、お金の管理を見てください。電話では分からないことが、家に入ると見えます。心配なら、地域包括支援センターに「見守りをお願いできますか」と相談することもできます。
まとめ|「決めつけず、でも見過ごさない」
- このチェックは診断ではありません。判断するのは医師です
- 加齢の物忘れは「一部を忘れる」、認知症は「体験そのものを忘れる」
- 数より「以前と比べて変わったか」が大切
- 早期受診の意味|治る病気がある・MCIは戻ることもある・準備ができる
- 受診を嫌がるなら「健康診断」「私も一緒に」と言い換える
- 診断後は要介護認定・お金の管理・抱え込まない
親の変化に気づくのは、いちばん近くにいる家族です。
「気のせいだ」と思いたい気持ちも、分かります。認めるのが、こわいんですよね。
でも、早く気づくことは、決して悪いことではありません。できることが、増えます。準備の時間が、持てます。
そして、認知症になっても、その人はその人のままです。気づいて、備えて、支える。その一歩目が、この記事であってくれたら嬉しいです。



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「どこに相談すれば」の答えは、まずここです。
参考にした情報(公的機関)
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断・助言ではありません。認知症の診断は医師にしかできません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
※MCIの移行・回復に関するデータは、国立長寿医療研究センターの公表情報にもとづきます。数値には幅があり、個人差があります。









