介護のお金の制度は、ほぼすべて「申請しないともらえません」。
黙っていても、誰も教えてくれません。
リハウルフ介護の補助金は、20種類以上あります。でも全部を読む必要はありません。
この記事では、金額が大きく、かつ見落とされやすいものから順にお伝えします。上から3つだけ読んでも、十分に元が取れます。
- 特別障害者手当|月30,450円(年36万円超)。いちばん見落とされています
- 高額介護サービス費|上限を超えた分が戻ってくる
- 障害者控除|要介護なら、税金が安くなる可能性があります
この3つだけで、年間数十万円変わることがあります。
①【最大の見落とし】特別障害者手当|月30,450円
この制度を知らないまま、介護を続けているご家族が、あまりにも多い。
私は現場で、何度も何度も、こう言ってきました。「特別障害者手当、申請しましたか?」——そして、ほぼ全員が「それ、何ですか?」と答えます。
(令和8年4月〜)
場合
| 制度名 | 特別障害者手当(厚生労働省) |
|---|---|
| 月額 | 30,450円(令和8年4月より適用) |
| 対象 | 精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活で常時特別の介護を必要とする状態にある、在宅の20歳以上の方 |
| 支払時期 | 2月・5月・8月・11月(前月分まで) |
| 所得制限 | あり(本人・配偶者・扶養義務者の前年所得で判定) |
| 申請先 | お住まいの市区町村の窓口 |



身体障害者手帳を持っていなくても、申請できます。
この手当は、手帳の有無ではなく、「常時特別の介護を必要とする状態か」という国の基準で判定されます。
つまり、介護保険で要介護4〜5相当の重い状態にある方は、該当する可能性があります。
2つの重要な注意点
- 「在宅」であることが条件です。施設に入所している方は対象外。長期入院の場合も対象外になります
- 所得制限があります。本人だけでなく、同居する扶養義務者(子など)の所得も見られます
該当するかどうかは、素人判断できません。市区町村の障害福祉課に電話して、「特別障害者手当の対象になるか、判定してもらえますか」と聞いてください。それだけです。
もらえるかもしれないのに、聞かないのは、あまりにもったいない。年36万円です。
②【自動では戻りません】高額介護サービス費
介護保険サービスの自己負担には、月ごとの上限があります。超えた分は、申請すれば戻ってきます。
| 所得の区分 | 月額の上限 |
|---|---|
| 課税所得690万円以上 | 140,100円 |
| 課税所得380万〜690万円未満 | 93,000円 |
| 市町村民税課税世帯(課税所得380万円未満) | 44,400円 |
| 世帯全員が市町村民税非課税 | 24,600円 |
| 前年の合計所得+課税年金収入が80万円以下 など | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方 など | 15,000円 |
初回は、申請が必要です
多くの自治体では、対象になると市区町村から通知が届きます。ただし最初の1回は、こちらから申請書を出す必要があります。
通知を放置している方がいます。あれは「お金が戻りますよ」というお知らせです。必ず出してください。
※対象外の費用があります。食費・居住費・日常生活費・福祉用具購入費・住宅改修費は、この上限の対象になりません。
③【税金が安くなる】障害者控除対象者認定
これも、見落とされている制度の代表格です。
障害者手帳を持っていなくても、要介護認定を受けている方は、市区町村から「障害者控除対象者認定書」を交付してもらえる場合があります。
確定申告や年末調整で、障害者控除が使えるようになります。
- 障害者控除|所得税27万円/住民税26万円の所得控除
- 特別障害者控除|所得税40万円/住民税30万円の所得控除
- 同居している特別障害者を扶養している場合は、さらに上乗せがあります
親を扶養に入れている方は、あなたの税金が下がります。



過去にさかのぼって申告し直せる場合もあります。「知らずに何年も損していた」というケースは珍しくありません。認定の基準は自治体ごとに異なるので、まず窓口に確認してください。
医療費控除|見落とされている3つの費用
医療費控除は多くの方がご存じですが、「これも対象だったのか」というものが、いくつもあります。
- 紙おむつ代 医師の「おむつ使用証明書」があれば、医療費控除の対象になります。おむつ代は、年間で数万円になります。主治医に「おむつ使用証明書を書いてください」と頼んでください。
- 介護サービスの自己負担額(一部) 訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、ショートステイなど、医療系サービスの自己負担は対象になります。領収書に「医療費控除の対象額」が記載されていることが多いので、確認してください。
- 通院にかかった交通費 公共交通機関の運賃は対象。付き添いが必要な場合、付き添った家族の交通費も対象になります。タクシー代も、公共交通機関が使えない事情があれば対象になり得ます。
領収書とレシートは、全部とっておいてください。
「対象かどうか分からないもの」も、捨てないこと。判断は、あとで税務署に聞けばいい。捨ててしまったら、それで終わりです。
介護保険で使える給付
| 住宅改修費 | 20万円までが対象(自己負担1〜3割) ※工事の「前」に申請が必要。先に工事すると出ません 手すり・段差解消・床材変更など。要介護度が3段階上がるか、転居すれば再度使えます |
|---|---|
| 福祉用具購入費 | 年間10万円までが対象(自己負担1〜3割) 入浴・排泄関連など、レンタルになじまないもの。指定事業者から買わないと対象外です |
| 特定入所者介護サービス費 (補足給付) | 施設入所時の食費・居住費が軽減されます 所得が低い方が対象。申請すると「負担限度額認定証」が発行されます |
| 高額医療・高額介護 合算療養費 | 1年間(8月〜翌7月)の医療費+介護費の合計が上限を超えたら戻る 医療と介護、両方を使っている世帯は必ず確認を |



働きながら介護する人へ|介護休業給付金
- 休業中、賃金のおよそ67%が支給されます
- 対象家族1人につき、通算93日まで
- 3回まで分割して取得できます
- 申請は、勤務先を通じてハローワークへ
「仕事を辞めるしかない」と思う前に、必ずこれを確認してください。
あわせて、介護休暇(対象家族1人につき年5日・時間単位で取得可能)も使えます。通院の付き添いに、丸1日の有給を使う必要はありません。
自治体独自の助成(意外と手厚い)
ここは自治体によって内容が大きく違います。「うちの市にはないだろう」と決めつけず、必ず確認してください。
| 紙おむつの支給・助成 | 現物支給、または購入費の助成。月数千円相当のことが多い |
|---|---|
| 配食サービスの助成 | 1食あたり数百円の補助。安否確認を兼ねます |
| 介護タクシー・移送費の助成 | 助成券の交付など |
| 緊急通報装置の貸与 | 一人暮らし高齢者に無料または低額で貸与 |
| 訪問理美容の助成 | 外出が難しい方の散髪代を補助 |
| 住宅改修の上乗せ助成 | 介護保険の20万円に、自治体が独自に上乗せ |
| 家族介護慰労金 | 重度の要介護者を在宅で介護する家族に、年額の慰労金(条件が厳しめ) |
| 認知症の見守り・GPS助成 | GPS端末の購入・利用料を補助 |
地域包括支援センターに電話して、こう聞いてください。
「介護で使える助成や給付を、全部教えてください」
この一言で、地域で使える制度を、まとめて教えてくれます。無料です。1本の電話で終わります。
申請する順番
- まず、地域包括支援センターに電話(無料・1本) 地域の制度を、まとめて教えてもらう。ここが出発点です。
- 市区町村で「特別障害者手当」の対象か判定してもらう 重度の介護状態なら、年36万円。いちばん金額が大きい。
- 「障害者控除対象者認定書」をもらう 税金が下がります。扶養している家族の税金も。
- 高額介護サービス費の申請(通知が来たら必ず出す) 放置しないでください。戻るお金です。
- 領収書を全部とっておき、確定申告する 医療費控除。おむつ代は、医師の証明書を忘れずに。
介護費用が、どうしても足りないとき
制度を全部使っても、足りないことがあります。
特に問題になるのが、親が認知症になり、親の預金が引き出せなくなるケースです。本人の判断能力が失われると、銀行口座は事実上凍結されます。親のお金があるのに、親の介護費用に使えない——これが「資産凍結」です。
元気なうちにしか、打てない手があります。成年後見制度や、家族信託。どちらも一長一短があるので、まず情報を集めてください。
よくある質問
- 特別障害者手当は、要介護認定を受けていれば必ずもらえますか?
- いいえ。介護保険の要介護度とは、別の基準で判定されます。「常時特別の介護を必要とする状態」という国の基準に該当するかどうかを、医師の診断書などをもとに市区町村が判定します。該当するかは、窓口で確認してください。また、所得制限があり、施設入所中の方は対象外です。
- 申請を忘れていました。さかのぼってもらえますか?
- 制度によります。高額介護サービス費は2年、医療費控除は5年さかのぼれます(更正の請求)。手当類は原則さかのぼれません。気づいた時点で、すぐ申請してください。1日でも早く。
- 親の年金で足りない分は、子が払わないといけませんか?
- 法律上、扶養義務はありますが、「自分の生活を犠牲にしてまで」という義務ではありません。まず親の資産と年金の範囲で組み立てるのが原則です。足りない場合は、生活保護や、施設の負担軽減制度(補足給付)という選択肢があります。ケアマネか地域包括に相談してください。
- どこに聞けば、全部教えてもらえますか?
- 地域包括支援センターです。次に担当ケアマネジャー。制度の窓口は市区町村の介護保険課・障害福祉課・税務課に分かれていますが、包括に聞けば整理して教えてくれます。
- おむつ代の医療費控除には、何が必要ですか?
- 医師が発行する「おむつ使用証明書」と、おむつ代の領収書です。証明書は主治医に頼めば書いてもらえます(文書料がかかることがあります)。2年目以降は、市区町村が発行する確認書で代用できる場合があります。
まとめ|聞かなければ、1円も来ません
- 特別障害者手当|月30,450円(在宅・重度・所得制限あり)。最大の見落とし
- 高額介護サービス費|上限超過分が戻る。通知が来たら必ず申請
- 障害者控除対象者認定|手帳がなくても、要介護なら税金が下がる可能性
- おむつ代は、医師の証明書があれば医療費控除の対象
- 住宅改修20万円は、工事の「前」に申請
- 介護休業給付金|賃金の約67%・通算93日。辞める前に確認を
- まず地域包括支援センターに電話1本。全部まとめて聞ける
介護のお金の制度は、「知っている人だけが得をする」仕組みになっています。
役所は、教えに来てくれません。こちらから聞かなければ、1円も入ってきません。これは冷たいようですが、そういう仕組みなのだと、割り切ってください。
そして——お金の余裕は、心の余裕になります。
月3万円あれば、月に何度かヘルパーを頼めます。あなたが眠れる日を、作れます。それは、親のためでもあります。



あわせて読みたい
- 高額介護サービス費とは?申請方法と還付金の受け取り方
いちばん確実に戻ってくるお金です。 - 介護保険負担割合|1割・2割・3割の判定基準と賢い対策
そもそも何割負担なのかを、確認してください。 - 介護費用シミュレーション|年金だけで足りる?月額計算と対策
全体像を、数字で把握したい方へ。
参考にした情報(公的機関)
※本記事の制度・金額は2026年7月時点で公的機関の情報を確認したものです。制度は改正され、金額も改定されます。自治体独自の助成は、市区町村により内容が大きく異なります。必ずお住まいの市区町村・地域包括支援センターにご確認ください。
※税制上の取扱いについては、個別の事情により判断が異なります。最終的な判断は、税務署または税理士にご確認ください。









