介護保険の負担割合|1割・2割・3割はこう決まる【判定基準の正解】

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「親の合計所得が160万円を超えたから、2割負担だ」

——待ってください。それだけでは決まりません。

リハウルフ
こんにちは、理学療法士のリハウルフです。ここは、ネット上に間違った情報が多い分野です。正確にお伝えします。

介護保険の負担割合が1割か、2割か、3割か。これは、介護費用に直接効いてきます。

月10万円分のサービスを使うなら、1割なら1万円、3割なら3万円。年間で24万円の差です。

よくある誤解

「合計所得金額160万円以上なら、2割負担」

これは、条件の「半分」しか見ていません。

2割負担になるには、2つの条件を「両方」満たす必要があります。片方だけなら、1割のままです。

目次

【正確な基準】負担割合はこう決まります

厚生労働省の資料にもとづき、正確に記載します。

2割負担になる条件

次の①と②を、両方満たす場合

① 本人の合計所得金額が 160万円以上

かつ

② 同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が

  • 単身世帯280万円以上
  • 2人以上の世帯346万円以上

3割負担になる条件

次の①と②を、両方満たす場合

① 本人の合計所得金額が 220万円以上

かつ

② 同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が

  • 単身世帯340万円以上
  • 2人以上の世帯463万円以上

上記に当てはまらなければ、1割負担です

また、65歳未満の方(第2号被保険者)、市町村民税非課税の方、生活保護を受けている方は、所得にかかわらず1割負担です。

リハウルフ
「かつ」がポイントです。①だけ超えていても、②が届かなければ1割のままです。

「合計所得金額」とは何か

ここでつまずく方が多いので、整理します。

合計所得金額収入から、必要経費(公的年金等控除・給与所得控除など)を引いた後の金額。
「年収」ではありません。
※各種所得控除(医療費控除・扶養控除など)を引く前の金額です
年金収入控除を引く前の、年金の額面

ここが、いちばん誤解されます

条件①は「合計所得金額」=控除後。
条件②は「年金収入」=控除前の額面+その他の合計所得。

2つの条件で、見ている数字の種類が違います。だから、ご自身で計算しようとすると、まず間違えます。

自分で計算しないでください

正直に言います。この判定を、家族が自力で正確に行うのは困難です。

そして、その必要もありません。

「介護保険負担割合証」を見てください

毎年7月ごろ、市区町村から届きます。

  • そこに「1割」「2割」「3割」と、はっきり書いてあります
  • 有効期間は8月1日〜翌年7月31日
  • 前年の所得にもとづいて、毎年判定し直されます

判定は、すでに市区町村が済ませています。あなたが計算する必要はありません。

リハウルフ
毎年7月。この封筒だけは、絶対に捨てないでください。

負担割合証は、サービス事業者に提示する必要があります。提示しないと、いったん全額請求されることもあります。届いたら、すぐにケアマネジャーに見せてください。

負担割合で、月いくら変わるのか

使ったサービス費1割2割3割
月5万円分5,000円10,000円15,000円
月10万円分10,000円20,000円30,000円
月20万円分20,000円40,000円60,000円
月30万円分30,000円60,000円90,000円

要介護度が上がるほど、使うサービスは増えます。要介護5なら、月30万円分を超えることもあります。3割負担なら、それだけで月9万円です。

【重要】3割でも、青天井ではありません

ここで安心してください。自己負担には、月ごとの上限があります。

高額介護サービス費という制度です。上限を超えた分は、申請すれば戻ってきます。

所得区分月額の上限
課税所得690万円以上140,100円
課税所得380万〜690万円未満93,000円
市町村民税課税世帯(課税所得380万円未満)44,400円
世帯全員が市町村民税非課税24,600円
前年の合計所得+課税年金収入が80万円以下 など24,600円(世帯)/15,000円(個人)
生活保護受給者 など15,000円

つまり、こういうことです

3割負担で月30万円分のサービスを使い、自己負担が9万円になったとしても、上限が44,400円の区分なら、超えた分は戻ってきます。

ただし、申請しないと戻りません。通知が来たら、必ず出してください。

※食費・居住費・日常生活費・福祉用具購入費・住宅改修費は、この上限の対象外です。

負担割合が高くて苦しいときの対策

  1. 高額介護サービス費を、必ず申請する これが第一です。上限を超えた分は戻ります。申請しないと、1円も戻りません。
  2. 高額医療・高額介護合算療養費を確認する 1年間(8月〜翌7月)の医療費と介護費の合計にも上限があります。両方を使っている世帯は、必ず確認してください。
  3. 世帯分離を検討する(ただし慎重に) 住民票の世帯を分けることで、判定が変わる場合があります。ただし、これは安易に勧められません。健康保険の扶養、税の扶養控除、他の制度に影響が出ることがあります。必ず市区町村とケアマネに相談してから。
  4. 確定申告で、税負担を下げる 医療費控除・障害者控除など。翌年の判定に影響する場合もあります。
  5. ケアプランを、ケアマネと見直す 使っていないサービスはないか。本当に必要なものだけになっているか。遠慮せず「費用を抑えたい」と伝えてください。それはケアマネの仕事です。
リハウルフ
「お金がきつい」とケアマネに言うのは、恥ずかしいことではありません。言ってくれないと、こちらも調整できないんです。

世帯分離について、正直に書きます

ネット上に「世帯分離で介護費用が安くなる」という情報があふれています。

安易に勧めません

確かに、世帯の所得で判定される制度は複数あります。世帯を分ければ、負担割合や高額介護サービス費の区分が変わる可能性はあります。

でも、失うものもあります。

  • 健康保険の扶養から外れる可能性
  • 税の扶養控除が使えなくなる可能性
  • 他の福祉サービスの判定に影響

そして何より、「介護費用を下げるためだけ」の世帯分離は、本来の趣旨から外れます。自治体によっては、実態を確認されます。

実際に生計を別にしているなら、正々堂々と世帯分離すればいい。でも「節約テクニック」として飛びつくのは、おすすめしません。必ず市区町村の窓口とケアマネに相談してから判断してください。

よくある質問

負担割合は、いつ変わりますか?
毎年8月1日に更新されます(有効期間は翌年7月31日まで)。前年の所得にもとづいて判定されるので、親が退職した翌々年に、1割に下がることがあります。毎年7月に届く「負担割合証」を必ず確認してください。
同居している子の収入は、判定に影響しますか?
影響しません。判定に使われるのは、「同一世帯の65歳以上の方」の年金収入とその他の合計所得です。64歳以下の子の収入は含まれません。ここは安心してください。
負担割合証が届きません
要介護・要支援の認定を受けている方に交付されます。認定を受けているのに届かない場合は、市区町村の介護保険課に問い合わせてください。紛失した場合も、再発行できます。
3割になってしまいました。何かできることは?
まず高額介護サービス費を申請してください。上限を超えた分は戻ります。次に高額医療・高額介護合算療養費。そしてケアプランの見直しをケアマネと。「費用を抑えたい」と、はっきり伝えてください。
自分で判定を計算したいのですが
おすすめしません。「合計所得金額」と「年金収入」は、見ている数字の種類が違います。素人計算は、まず間違えます。市区町村がすでに判定して、負担割合証を送ってくれています。それを見るのがいちばん確実です。疑問があれば、市区町村の介護保険課に電話してください。

まとめ|7月に届く封筒を、捨てないでください

この記事の要点
  • 2割・3割は「2つの条件を両方満たす」場合のみ。片方だけなら1割です
  • 2割|合計所得160万円以上 かつ 年金収入等が単身280万/2人以上346万以上
  • 3割|合計所得220万円以上 かつ 年金収入等が単身340万/2人以上463万以上
  • 自分で計算しない。毎年7月に届く「負担割合証」を見る
  • 3割でも高額介護サービス費で上限あり。ただし申請しないと戻りません
  • 同居する子の収入は、判定に影響しません(65歳以上の世帯員のみ)

負担割合の話は、複雑です。正確に理解しようとすると、頭が痛くなります。

でも、実はやることは1つだけです。

7月に届く「介護保険負担割合証」を見る。そして、ケアマネに渡す。

それだけです。判定は、役所がやってくれています。あなたが計算する必要は、まったくありません。

リハウルフ
そして、もし負担が重くて苦しいなら、必ずケアマネに言ってください。抱え込まないでください。

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参考にした情報(公的機関)

※本記事の制度・金額は2026年7月時点で厚生労働省の資料を確認したものです。制度は改正されます。個別の判定は、必ずお住まいの市区町村・担当ケアマネジャーにご確認ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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