「要介護認定の更新って、自分でやらないといけないの?」
「区分変更って、いつ出せばいいの?」
——結論から、お答えします。
リハウルフ- 更新の手続きは、ケアマネジャーが代行できます。役所に行く必要はありません
- ただし「ケアマネ任せ」にすると、損をします。家族がやるべきことがあります
- 区分変更は「状態が変わった今すぐ」。有効期間の途中でも出せます
- 認定調査で「できます」と言ってしまうと、介護度は軽く出ます
更新の手続きは、ケアマネジャーがやってくれます
まず、多くの方が気にしている点から。
要介護認定の更新申請は、本人や家族が役所の窓口に行かなくても大丈夫です。
申請を代行できる人
- ケアマネジャー(居宅介護支援事業者)
- 地域包括支援センター
- 入所している介護保険施設
- もちろん、家族が本人に代わって申請することもできます
これは介護保険法で認められた仕組みです。遠慮する必要はまったくありません。



認定調査の「立ち会い」です。
書類の提出はケアマネに任せていい。でも、調査の場に家族が同席するかどうかで、認定結果は変わります。
理由は、この記事の後半で詳しくお話しします。ここが、いちばん大事なところです。
認定の有効期間は、何か月?
介護保険の認定は、一度取ったら永久に有効、ではありません。期限があります。
| 申請の種類 | 原則 | 市町村が認めた場合の幅 |
|---|---|---|
| 新規申請 | 6か月 | 3〜12か月 |
| 区分変更 | 6か月 | 3〜12か月 |
| 更新(介護度が変わった) | 12か月 | 3〜36か月 |
| 更新(介護度が同じ) | 12か月 | 3〜48か月 |
状態が安定している方は、最長4年(48か月)まで延びることがあります。毎年の更新が負担だったご家族には、朗報です。
まず、これを確認してください
介護保険被保険者証を出して、「認定の有効期間」の欄を見てください。そこに満了日が書いてあります。
今日、確認しておきましょう。それが全ての出発点です。
更新申請は、いつ出す?
多くの市区町村では、有効期間の満了日の60日前から更新申請を受け付けています。
そして認定結果が出るまでには、原則30日かかります(申請から認定通知まで、介護保険法上は30日以内が原則です)。
- 満了日の60日前|申請できるようになる 市区町村から更新の案内が届くことが多いです。ケアマネにも連絡がいきます。
- 満了日の30日前まで|ここまでに出す これが安全ラインです。認定に30日かかるので、ここを過ぎると期限に間に合わないおそれがあります。
- 認定調査|調査員が訪問してくる ここに家族が立ち会ってください。最重要ポイントです。
- 結果通知|新しい保険証が届く 介護度が変わっていれば、ケアプランも見直しになります。
※申請できる時期は自治体によって異なる場合があります。お住まいの市区町村にご確認ください。
更新を忘れると、どうなるのか
有効期間が切れると、介護保険サービスが使えなくなります。
デイサービスも、訪問介護も、福祉用具のレンタルも、いったん全額自己負担です。1割負担だった方が、10割払うことになります。
月10万円分のサービスを使っていたなら、自己負担1万円が、10万円になるということです。



もし切らしてしまった場合は、すぐに市区町村に相談してください。さかのぼって適用される場合もあります。あきらめずに、まず連絡を。
区分変更を出す「ベストタイミング」
ここからが本題です。
区分変更申請は、有効期間の途中でも、いつでも出せます。「更新まで待たなきゃ」と思っている方が多いのですが、待つ必要はありません。
- 入院・骨折・脳卒中などで、明らかに状態が変わった
- 歩けていたのに、歩けなくなった
- トイレが間に合わなくなった
- 認知症が進み、目が離せなくなった
- 支給限度額を使い切って、サービスが足りない
最後の項目が特に重要です。「限度額いっぱいで、これ以上サービスを増やせない」——これは、介護度が実態に合っていないサインです。
逆に、出さないほうがいいタイミング
正直に言います。区分変更は、下がるリスクもあります。
こんなときは、慎重に
- リハビリで、状態が良くなっている最中(軽く判定される可能性)
- 状態は変わっていないが、「なんとなく上げたい」だけ
- 退院直後で、まだ状態が定まっていない(1〜2か月様子を見てから)
区分変更を出すと、その時点で新しい認定になり、有効期間もリセットされます。下がった場合、その介護度で数か月過ごすことになります。



【最重要】認定調査で損をしない伝え方
ここが、この記事でいちばん価値のある部分です。
私は専門職として、認定調査に何度も立ち会ってきました。そして毎回、同じ光景を見ます。
調査員「歩けますか?」
本人「ええ、歩けますよ」——スッと立ち上がって、数歩歩いて見せる。
調査員「お風呂は入れますか?」
本人「ひとりで入ってます」
実際は、家族が毎日支えて、やっとの思いで入浴介助しているのに。
これは、本人が嘘をついているのではありません。
他人が来た緊張感で、普段よりできてしまうのです。そして高齢者には、「できない自分」を認めたくないという、当たり前のプライドがあります。



でも、その結果介護度は軽く判定され、必要なサービスが使えなくなります。困るのは、家族です。
では、家族はどうすればいいか
- 必ず、調査に立ち会う これが大前提です。仕事を半日休んででも、立ち会う価値があります。家族がいるかいないかで、結果が変わります。
- 本人の前で否定しない 「何言ってるの、できてないじゃない」——これはやめてください。本人の尊厳を傷つけ、その後の関係が壊れます。
- 「事実」を、淡々と補足する
否定ではなく、付け加える。
「お風呂は、私が背中を支えて、浴槽をまたぐのを手伝っています」
これだけでいい。責める口調ではなく、事実の報告として。 - 「できない日」を具体的に言う
調査員が見ているのは、その日の1時間だけです。
「今日は調子がいいですが、週に3日は、朝起き上がれません」
「夜中に2回トイレに起きて、そのたびに私が起きています」
回数・頻度・時間を、数字で伝えてください。これが最も効きます。 - 言いにくいことは、メモを渡す 本人の前で言えないことは、紙に書いて調査員に渡してください。「本人の前では言えませんが」と添えて。これは、調査員も慣れています。
調査はだいたい1時間。その場で思い出そうとしても、絶対に抜けます。
1週間前から、こんなことをメモしておくと完璧です。
- 夜中に起こされた回数
- 失敗(失禁・転倒)の回数
- 介助が必要な場面と、その所要時間
- できなくなったこと(前はできていたのに)
- 家族が仕事を休んだ日数
認定が、思ったより低かったとき
納得できない結果が出たとき、選択肢は3つあります。
| ① 区分変更申請 | いちばん現実的です。「状態が変わった」として、もう一度申請し直す。 結果までは、また約30日。 |
|---|---|
| ② 審査請求 | 都道府県の介護保険審査会に不服申し立て。60日以内に行う必要があり、結果が出るまで数か月かかります。正直、時間がかかりすぎます。 |
| ③ 受け入れる | 足りない分は、保険外の自費サービスで補う。現実的な解決策のひとつです。 |
私が現場で勧めるのは、①です。審査請求は制度上の権利ですが、時間がかかりすぎて、その間にご家族が疲弊します。
介護度が足りず、サービスが足りないとき
区分変更を出しても、結果が出るまで約1か月。その間も、介護は続きます。
「限度額を超えるから、これ以上サービスを増やせない」——この壁にぶつかったとき、保険外の自費サービスで、必要な部分だけを埋めるという方法があります。夜間の付き添い、通院の同行、長時間の見守り。ケアプランに載らない部分を、ピンポイントで頼めます。
介護度が上がったら、施設も視野に
区分変更で介護度が上がったということは、在宅介護の負担が、確実に増えているということです。
特に要介護3以上になると、特別養護老人ホーム(特養)の申込資格が得られます。特養は待機期間が長いので、「まだ先」と思っていても、申し込みだけは早めにしておく——これが、私が現場でご家族に伝えていることです。
「今すぐ入れる」ためではなく、「いざというときの選択肢を持っておく」ために。
よくある質問
- 更新申請は、ケアマネに頼んでいいのですか?
- 問題ありません。介護保険法で認められた代行申請です。ケアマネジャー、地域包括支援センター、入所中の介護保険施設が代行できます。担当ケアマネがいれば、時期が近づくと向こうから声をかけてくれます。
- 更新のとき、また認定調査があるのですか?
- あります。更新でも、調査員が訪問して調査を行い、主治医意見書も必要です。ここに家族が立ち会うことが、とても重要です。
- 区分変更を出したら、介護度が下がることはありますか?
- あります。区分変更は「今の状態で判定し直す」手続きなので、上がることも下がることもあります。リハビリで状態が改善している時期などは、慎重に判断してください。ケアマネに相談してから出すのが安全です。
- 認定調査に、家族が立ち会えない場合は?
- せめてメモを用意して、ケアマネか本人に渡しておいてください。「夜中のトイレは週に何回」「入浴には全介助が必要」など、具体的な事実を箇条書きで。可能なら、調査日を家族が立ち会える日に調整してもらいましょう。日程調整は、頼めばしてもらえます。
- 認定が出るまで、サービスは使えませんか?
- 新規申請の場合、暫定ケアプランを組んで、認定前からサービスを使うことができます(認定結果が予想より軽く出た場合、超過分が自己負担になるリスクはあります)。ケアマネに相談してください。
まとめ|手続きは任せて、調査には立ち会う
- 更新の手続きは、ケアマネが代行できる(法律で認められている)
- 有効期間は更新なら原則12か月、状態が安定していれば最長48か月
- 更新申請は、多くの自治体で満了日の60日前から。認定には約30日かかる
- 期限が切れると、全額自己負担になる
- 区分変更は有効期間の途中でも出せる。ただし下がるリスクもある
- 認定調査には、必ず家族が立ち会う。回数・頻度を数字で伝える
要介護認定は、介護の「予算」を決める手続きです。ここで介護度が1つ違うだけで、使えるサービスの量が大きく変わります。
書類仕事は、プロに任せてください。あなたがやるべきなのは、調査の日に、本人の隣に座ることです。
そして、こう言ってください。「実は、夜中に2回起きています」と。



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参考にした情報(公的機関)
※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。申請できる時期や手続きの詳細は自治体により異なる場合がありますので、お住まいの市区町村・担当ケアマネジャーにご確認ください。









