「介護費用が思った以上にかかる…」「少しでも費用を抑えたい」──親の介護をしていて、お金のやりくりに頭を悩ませている方は本当に多いです。
そんな家族に、ぜひ知ってほしいのが 「高額介護サービス費」 という制度。月の介護費が一定額を超えたら、超過分が戻ってくる 公的制度です。
私はケアマネジャーとして、この制度を案内すると「えっ、そんな制度あったんですか!」と驚かれることが本当に多い。自動的には戻ってきません 。家族が自分で申請する必要があります。
この記事では、高額介護サービス費の仕組み・所得別上限額・申請方法・もらえる金額の試算を、現役ケアマネが完全解説します。
高額介護サービス費とは|30秒で分かる仕組み
シンプルに言うと、 「介護保険サービスの自己負担額が、月の上限を超えたら、超過分が後で戻ってくる」 制度です。
例:要介護3で月の介護費が5万円かかった場合
- 1割負担で介護保険サービス利用=月5万円の自己負担
- 所得区分が「住民税非課税」なら上限額は月24,600円
- 5万円 − 24,600円 = 25,400円 → 超過分25,400円が後日還付
つまり、 年間で約30万円戻ってくる ことに。これを知らずに払いっぱなしの家族が本当に多い。
高額介護サービス費の所得別上限額(2025年現在)
所得によって上限額が違います。以下の表で確認してください。
| 所得区分 | 月の上限額 |
|---|---|
| 年収約1,160万円以上 | 140,100円(世帯) |
| 年収約770万円〜約1,160万円 | 93,000円(世帯) |
| 年収約383万円〜約770万円 | 44,400円(世帯) |
| 住民税課税世帯 | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 本人の年金収入80万円以下等 | 15,000円(個人) |
| 生活保護受給者 | 15,000円(個人) |
あなたの親はどの区分?
おおよその目安:
- 年金月15万円以下+単身:「世帯全員が住民税非課税」(上限24,600円)の可能性大
- 年金月8万円以下 :「本人の年金収入80万円以下」(上限15,000円)の可能性大
- 詳細は 市区町村の介護保険課に確認 が確実
「世帯」の意味に注意
「世帯」は同居している人を指します。親と同居している場合、家族の所得も合算されることがあるので注意。
高額介護サービス費の対象になるサービス
すべての介護サービスが対象ではありません。
対象になるもの
- 訪問介護
- 訪問看護
- デイサービス
- デイケア
- ショートステイ
- 福祉用具レンタル
- 施設入居(特養・老健等)の介護費部分
対象外
- 福祉用具購入費
- 住宅改修費
- 食費・居住費
- 日常生活費
- 介護保険外サービス(宅配弁当・家事代行等)
施設入居の月額費用のうち、 「居住費・食費」は対象外 で、「介護費部分」だけが対象という点に注意。
申請方法|4ステップで完了
意外と簡単です。手順を見ていきましょう。
ステップ① 該当するか確認
まず、毎月の介護サービス費の自己負担額が、上限額を超えているかを確認。ケアマネに相談すれば一発で分かります。
ステップ② 申請書を取得
市区町村の介護保険課で「高額介護サービス費 支給申請書」を入手。Webサイトからダウンロードできる自治体も多い 。
ステップ③ 必要書類を揃える
- 高額介護サービス費 支給申請書
- 介護保険被保険者証
- 振込先口座が分かる通帳のコピー
- 印鑑
- マイナンバー確認書類
ステップ④ 市区町村に提出
窓口持参または郵送。1回申請すれば、以後は自動で振り込まれる自治体が多い 。確認しましょう。
申請のタイミングと振込時期
申請タイミング
サービス利用月から 2年以内 に申請すればOK。過去2年分まで遡って申請可能。
振込時期
申請から 約3〜5ヶ月後 に指定口座に振込み。即時ではないので注意。
自動振込の自治体も
多くの自治体で、初回申請後は自動的に対象月の還付金が振り込まれます。毎回申請は不要。
似ているけど違う「高額医療・高額介護合算制度」
もう1つ知っておくべき制度があります。
高額医療・高額介護合算制度とは
医療費と介護費を 年単位で合算 して、上限を超えた分が還付される制度。
対象期間
8月1日〜翌年7月31日の1年間。
所得別の上限額
| 所得区分 | 年の上限額(70歳以上) |
|---|---|
| 年収約770万円〜 | 67万円 |
| 年収約383万円〜770万円 | 56万円 |
| 住民税課税世帯 | 56万円 |
| 住民税非課税世帯 | 31万円 |
申請方法
こちらは市区町村と健康保険組合の両方に申請が必要。少し複雑なので、不明なら市区町村窓口に相談を。
試算例|実際にいくら戻ってくる?
具体的な例で、 どれくらい戻ってくるかを試算してみます。
ケース① 要介護3・住民税非課税世帯
- 月の介護サービス自己負担:30,000円
- 上限額:24,600円
- 月の還付金:5,400円
- 年間還付:64,800円
ケース② 要介護5・特養入居・住民税非課税世帯
- 月の介護費自己負担(食費居住費除く):35,000円
- 上限額:24,600円
- 月の還付金:10,400円
- 年間還付:124,800円
ケース③ 要介護2・年金月7万円・単身
- 月の介護サービス自己負担:18,000円
- 上限額:15,000円
- 月の還付金:3,000円
- 年間還付:36,000円
数千円〜1万円超/月が戻ってくるケースが多いです。年間にすると数万円〜十数万円。
申請を忘れがちなパターン
「うちは関係ない」と思っていたら実は対象、というケース。
パターン① 「何もしないと戻ってこない」を知らない
これが最多 。申請しないと永遠に戻ってきません。
パターン② 親が世帯分離していて、家族が知らない
親が単身世帯になっていると上限が下がる。家族から見ると「別世帯」なので気づかないことも。
パターン③ 急な入院・施設入居で支払いが急増
通常月は対象外でも、特定月だけ対象になることがあります。
パターン④ 過去2年分を遡れることを知らない
2年前まで遡って申請可能。今からでも数十万円戻ってくる可能性あり。
ケアマネに「申請対象か」聞くのが確実
「うちは対象なのかな?」と思ったら、ケアマネに相談を。
ケアマネが知っていること
- 本人の介護度・自己負担額
- サービスの種類と料金
- 過去の利用状況
聞く時のフレーズ
「高額介護サービス費の申請対象になっているか教えてください」
これだけで、ケアマネが計算してくれます。ケアマネに相談料はかからない ので気軽にどうぞ。
高額介護サービス費以外にも!知らないと損する公的制度
高額介護サービス費とセットで使える制度を3つ。
制度① 高額医療・高額介護合算制度
(前述)医療費と介護費を年単位で合算。
制度② 医療費控除
介護保険サービス費の一部・おむつ代・通院費は医療費控除の対象。確定申告で所得税が戻ります。
制度③ 障害者控除
要介護認定があれば、市区町村の認定で「障害者控除対象者認定書」を取得できる場合があり、所得税・住民税の控除に。
まとめ|知っているだけで年間数十万円の差
高額介護サービス費は、「知っている家族」だけが申請する 制度。知らない家族は何十万円も損し続けています。
🍀 高額介護サービス費 完全活用5原則 ① 自分の親の所得区分を確認(市区町村に問い合わせ) ② 月の自己負担額が上限を超えていないかチェック ③ 該当なら申請書を提出(過去2年分も遡れる) ④ 自動振込になるか確認 ⑤ 高額医療・高額介護合算制度も併せて活用
家計全体の最適化は、 FP(ファイナンシャルプランナー)相談 で見てもらうのも有効。介護費+医療費+親の老後資金を統合して見れるのはFPだけです。ほけんの窓口 などの無料FP相談は、何度でも無料なのでぜひ活用を。
