「介護タクシーは、介護保険で安く乗れる」
——半分は本当で、半分は誤解です。
リハウルフ親の通院や外出のために、車が必要になる。でも、自分で運ぶのはもう限界。そんなとき頼るのが、介護タクシー・福祉タクシーです。
ただ、この2つは別物で、料金の仕組みも違います。そして、いちばん誤解されているのが——「何が介護保険で安くなるのか」です。
介護タクシーで介護保険が使えるのは、「介助」の部分だけです。
運賃(移送費)そのものは、介護保険の対象外。全額自己負担です。
「介護保険が使えるから、タクシー代が1〜3割になる」——これは、間違いです。
まず、この2つは別物です
| 介護タクシー | 福祉タクシー | |
|---|---|---|
| 正式には | 訪問介護の「通院等乗降介助」 | 一般のタクシー(福祉車両) |
| 介護保険 | 介助部分のみ使える | 使えない(全額自費) |
| 運転手 | 介護の資格を持つ (初任者研修以上) | タクシー運転手 (介助は限定的) |
| 介助 | ベッド〜車椅子の移乗、室内の移動も | 乗り降りのサポート中心 |
| 認定 | 要介護1〜5が必要 | 不要(誰でも) |
| 使える目的 | 通院・公的手続きなど限定 | 旅行・買い物もOK |



【重要】料金の仕組みを、正確に
ここが、この記事でいちばん大切なところです。
介護タクシーの料金は「3つ」でできています
請求書は、こう分かれています
- ① 運賃(移動距離・時間)|全額自費
- ② 介助料(乗降介助)|介護保険が使える(1〜3割)
- ③ 器具のレンタル料|車椅子・ストレッチャーなど(事業者による)
介護保険で安くなるのは、②だけです。①の運賃は、普通のタクシーと同じように、距離や時間でかかります。
介助料(②)は、「通院等乗降介助」として1回あたり定額で、その1〜3割が自己負担です。数百円程度に収まることが多い。つまり「介助してもらう部分は、確かに安い」。ここは本当です。
でも、運賃(①)は自費なので、遠くの病院に行けば、それなりの金額になります。ここを勘違いすると、「思ったより高かった」となります。
目安の金額
| 介護タクシー | 運賃(自費)+介助料の自己負担(数百円程度) 近所の病院往復で、おおむね2,000〜4,000円が目安 |
|---|---|
| 福祉タクシー | 全額自費。近所の病院往復で3,000〜5,000円が目安 介助が付く分、介護タクシーより割高になりやすい |
※料金は事業者・地域・距離・車両により大きく異なります。必ず事前に見積もりを取ってください。
【落とし穴】家族が同乗すると、保険が使えません
これは、知らない方が非常に多い。
この介助は、「家族が付き添えないから、ヘルパー(運転手)が介助する」という前提の制度です。
なので、家族が同乗して介助できる場合は、原則として介護保険の対象になりません。
「家族が付き添うなら、普通のタクシー(または福祉タクシー)でいい」という整理になります。
ここは自治体やケアプランによって判断が分かれる部分です。「家族が同乗する場合、保険は使えますか」と、ケアマネに必ず確認してください。
「院内の付き添い」は、原則ついてきません
もうひとつ、大事な注意点です。
介護タクシーが担うのは、基本的に「家から病院まで」の乗降と移動です。病院に着いてからの、院内での付き添いや待ち時間の見守りは、原則として含まれません。
院内介助は、病院のスタッフが対応するのが原則で、介護保険で算定できるのは例外的なケース(認知症で常時見守りが必要など、ケアマネがプランに位置づけた場合)に限られます。
つまり——「送迎は介護タクシー、でも病院の中は誰が付き添う?」という問題が残ります。ここは、通院の付き添い全体で考える必要があります。
通院の付き添い全体をどうするかは、こちらで詳しく解説しています。
→ 親の通院に付き添えない|有給を使い切る前に知るべき制度と方法
どちらを使えばいいか
| こんなとき | 選ぶのは |
|---|---|
| 要介護認定があり、移乗や移動に介助が必要 | 介護タクシー |
| 家族が付き添える。移動手段だけ欲しい | 福祉タクシー/一般タクシー |
| 旅行・買い物・お墓参りなど私的な外出 | 福祉タクシー(介護タクシーは対象外) |
| 認定を受けていない | 福祉タクシー(介護タクシーは使えない) |
| 車椅子・ストレッチャーのまま乗りたい | どちらも対応車両あり(要確認) |
自治体の助成を、忘れずに
見落とされがちですが、多くの自治体が、外出・移動の助成をしています。
- 福祉タクシー利用券・助成券の交付(1枚数百円〜)
- タクシー運賃の割引(障害者手帳での1割引など)
- リフト付き車両の燃料費助成
「うちの市に、外出の助成はありますか」と、地域包括支援センターか市区町村の窓口で聞いてください。これも、聞かなければもらえません。
予約と使い方
- 介護タクシーは、ケアマネ経由で ケアプランに位置づける必要があります。まずケアマネに「通院の送迎に、介護タクシーを使いたい」と相談を。
- 福祉タクシーは、直接予約でOK 自分で電話して予約できます。2〜3日前までに予約するのが安心です。
- 必ず、事前に見積もりを取る 「◯◯病院まで往復で、いくらですか」と。運賃・介助料・器具レンタル、全部込みの金額を確認してください。
- 車椅子のまま乗るなら、車両を指定 リフト付き・スロープ付きの車両が必要です。予約時に、本人の状態を伝えてください。
よくある質問
- 結局、介護タクシーは安いのですか?
- 「介助の部分」は安いです(保険適用)。でも「運賃」は自費です。近距離なら、トータルで割安になることが多い。ただし遠くの病院だと、運賃がかさみます。「保険が使えるから全部安い」ではないと、理解しておいてください。
- 要介護認定がなくても使えますか?
- 介護タクシー(通院等乗降介助)は、要介護1〜5の認定が必要です。認定がない場合や、要支援の方は、福祉タクシー(全額自費)を使うことになります。
- 旅行や墓参りにも使えますか?
- 介護タクシー(保険適用)は、通院や公的手続きなど、目的が限定されます。旅行・買い物・お墓参りには使えません。私的な外出には、福祉タクシー(全額自費)を利用してください。
- 家族が付き添えば、料金は安くなりますか?
- 家族が同乗して介助できる場合、介護保険の「乗降介助」は原則使えません。その場合は、福祉タクシーや一般タクシー(運賃のみ)のほうが、結果的に合理的なことがあります。判断はケアマネに相談してください。
- 病院の中まで、付き添ってもらえますか?
- 原則、含まれません。院内は病院スタッフが対応するのが基本です。認知症で常時見守りが必要な場合など、例外的にケアプランに位置づけられることもあります。院内の付き添いが必要なら、自費のヘルパーという選択肢もあります。
まとめ|「介助は保険、運賃は自費」を覚えておく
- 介護保険が使えるのは「介助」だけ。運賃は全額自費
- 介護タクシー=介助あり・要介護認定が必要・目的が限定
- 福祉タクシー=全額自費・認定不要・旅行もOK
- 家族が同乗して介助できると、保険は原則使えない
- 院内の付き添いは原則含まれない
- 自治体の助成券を確認。聞かなければもらえません
介護タクシーは、「もう自分で運べない」というご家族を、本当に助けてくれます。
無理に車に乗せようとして、腰を痛める家族を、私は何人も見てきました。プロに任せられるところは、任せてください。
ただ、料金の仕組みだけは、正しく理解しておく。そして、まずケアマネに相談する。それだけで、無駄なく使えます。



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移動の助成も、この中にあります。
参考にした情報(公的機関)
※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。介護保険の適用範囲(家族同乗時・院内介助など)は、自治体やケアプランにより判断が異なります。料金は事業者・距離により大きく変わります。個別の可否・金額は、担当ケアマネジャーおよび事業者にご確認ください。









