親が倒れた、認知症と診断された、退院後に介護が必要になった——ある日突然、「介護」が始まる。何から手をつければいいのか分からず、頭が真っ白になる方がほとんどです。
まず深呼吸してください。介護の立ち上げは、30日あれば十分に間に合います。そして、やることには正しい順番があります。焦って全部を一度にやろうとするから、混乱するのです。
私は理学療法士・介護支援専門員として、たくさんのご家庭の「介護のはじまり」に立ち会ってきました。この記事では、最初の30日を4つのフェーズに分けた時系列ロードマップに加えて、他サイトが書かない「認定結果を待つ1か月の空白の埋め方」と、最初の勢いでやってはいけないことを、正直にお伝えします。
リハウルフまず結論|30日を4フェーズで進める
ポイントは、認定申請(Day4前後)を早く出すこと。認定結果は約1か月かかるため、ここが遅れると全部が後ろにずれます。では、フェーズごとに見ていきましょう。
フェーズ1|Day1〜3|まず相談先につながる
最初の3日でやるのは、「自分で何とかする」ことではなく「プロの窓口につながる」ことです。
- Day1|現状を整理する親の困りごと(歩行・食事・排泄・服薬・お金の管理など)を、箇条書きでメモ。この「現状メモ」が、以降すべての相談の土台になります。
- Day2|入院中ならMSWに相談入院がきっかけなら、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)へ。退院後の生活の相談窓口です。退院前カンファレンスの調整も頼めます。
- Day3|地域包括支援センターに電話在宅で始まったなら、まず地域包括支援センターへ。介護の「最初の窓口」で、無料。何を聞けばいいか分からなくても、電話すれば導いてくれます。
地域包括支援センターの使い方は地域包括支援センターとは|無料で使える介護の「最初の窓口」で詳しく解説しています。入院から始まった方は親が倒れた|入院当日にやること・やってはいけないこともあわせてどうぞ。
フェーズ2|Day4〜10|認定を申請し、情報を集める
- Day4|要介護認定を申請する市区町村の窓口へ。これが最優先。結果が出るまで約1か月かかるので、1日でも早く出します。申請には介護保険被保険者証が必要。地域包括が代行してくれることも。
- Day5〜7|家族で役割を分担する兄弟・配偶者と情報を共有し、「誰が何を担うか」「お金はどうするか」を話し合います。一人で抱え込まない土台づくりです。
- Day8〜9|お金と会社の確認親の年金・貯蓄を把握。自分の勤務先の介護休暇・介護休業の制度も確認しておきます。
- Day10|介護環境をざっくり点検手すり・段差・ベッドなど、危険な場所を洗い出す。本格的な整備はケアマネと一緒に進めるので、ここではメモ程度でOK。
認定申請の具体的な流れ・調査の受け方は要介護認定の申請方法|「軽く出すぎない」調査の受け方と手順にまとめています。仕事との両立は介護休暇と介護休業の違いを確認してください。
重要|認定を「待つ1か月」を空白にしない
ここが、他サイトがほとんど書かない大事なポイントです。要介護認定の結果が出るまで約1か月。この間、「結果待ちだから何もできない」と手をこまねいてしまう家族がとても多い。でも、認定を待たずにサービスを始める方法があります。
介護保険は「申請日にさかのぼって」給付が受けられます。つまり、認定結果が出る前でも、ケアマネが「暫定ケアプラン」を作れば、デイサービスや訪問介護を先に使い始められるのです。
注意:もし「非該当(自立)」と判定された場合や、想定より軽い要介護度が出た場合、使った分が自費になるリスクがあります。前倒しで使うなら、この点をケアマネとよく相談してください。
「1か月まるまる待つ」のと「暫定で動き出す」のとでは、家族の負担がまるで違います。特に、退院直後で待ったなしの場合は、この方法を知っているかどうかが分かれ目になります。
それでも、暫定サービスの手配が間に合わない、当日どうしても人手が要る——そんな空白には、介護保険を使わず当日から頼める保険外サービスという手もあります。認定が下りるまでの“つなぎ”として、選択肢に入れておくと安心です。
フェーズ3|Day11〜25|ケアマネと体制を作る
- Day11〜14|ケアマネ(居宅介護支援事業所)を決める地域包括に紹介してもらうのが確実。相性が大事なので、可能なら複数から選びます。
- Day15〜18|初回面談とケアプラン作成「現状メモ」をもとに、親の希望・家族の事情を伝え、ケアプランを作ってもらいます。遠慮せず希望を言うのがコツ。
- Day19〜23|サービス事業者と契約デイサービス・訪問介護など、ケアプランに沿って事業者を選び契約。見学できるものは見ておくと安心です。
- Day24〜25|住環境を整える手すりの設置や福祉用具のレンタルを、ケアマネと相談しながら手配します。
ケアマネは介護生活を左右するパートナーです。ここで焦って「最初に紹介された1人」に即決しなくても構いません。連絡がつきやすいか、こちらの話を聞いてくれるかを、初回のやり取りで見ておきましょう。「合わない」と感じたら、後から替えることもできます。無理に完璧な相手を探すより、まず動き出せる相手と組むほうが大事です。
フェーズ4|Day26〜30|始めて、振り返る
- Day26〜28|サービス利用スタートいよいよ運用開始。最初はうまくいかなくて当たり前。親が嫌がる、時間が合わない等はよくあります。
- Day29|振り返って、ケアマネに共有「本人が疲れていた」「もう少し回数を増やしたい」など、気づきをケアマネに伝えます。プランは後から調整できます。
- Day30|次の1か月の計画を立てる兄弟に状況を報告し、翌月の見通しを共有。ここまで来れば、介護は「立ち上がった」状態です。



最初の勢いでやってはいけない3つ
介護のはじまりは動揺します。その勢いで、取り返しのつかない選択をしてしまう人がいます。次の3つは、最初の30日には絶対に避けてください。
- 慌てて仕事を辞める|収入を絶つと選択肢が激減。辞めても親はラクになりません。まず制度で乗り切る道を探す。
- いきなり施設を探し始める|まず在宅の体制を整えるのが先。施設はその後でも遅くありません。
- 親の意思を無視して、勝手に決める|本人を置き去りにした介護は必ずこじれます。できる範囲で本人の希望を聞く。
特に「退職」は要注意です。介護離職は、経済的にも精神的にも家族を追い詰めます。介護休暇・休業を使い、サービスで支える体制を作れば、辞めずに乗り切れる可能性は十分あります。
よくある質問
- 何から始めればいいか、本当に分かりません。
- まず地域包括支援センターに電話してください(在宅の場合)。入院中なら病院のMSWへ。何を聞けばいいか分からなくても、状況を話せば次にやることを教えてくれます。ここが全ての起点です。
- 要介護認定の結果が出るまで、何もできませんか?
- いいえ。ケアマネが「暫定ケアプラン」を作れば、認定前でもサービスを使い始められます。ただし非該当や想定より軽い判定だと自費になるリスクがあるため、ケアマネと相談して進めてください。
- 30日で終わらなかったら失敗ですか?
- そんなことはありません。30日はあくまで目安です。認定に時間がかかることもあります。大事なのは順番どおり動き出すこと。遅れても慌てず進めてください。
- 遠方に住んでいて、頻繁に帰れません。
- 遠距離でも、地域包括やケアマネと電話・オンラインで連携すれば体制は作れます。帰省時にまとめて動けるよう、事前に窓口とつながっておくのが鍵です。
まとめ|30日のロードマップで立ち上げる
この記事の要点
- 最初の3日は「自分で頑張る」より「相談先につながる」。
- 要介護認定は最優先で申請。結果は約1か月かかる。
- 待つ1か月は空白にしない。暫定ケアプランで前倒し利用が可能。
- ケアマネと体制を作り、Day30までにサービスを開始する。
- 最初の勢いで「退職・施設探し・独断」に走らない。
介護のはじまりは、誰にとっても不安なものです。でも、やることを順番に一つずつこなしていけば、必ず「回る形」になります。全部を一人で背負おうとしないこと。地域包括支援センター、ケアマネ、サービス、そして家族——支える人を集めるのが、この30日の本当のゴールです。まずは電話一本から始めてください。
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- 要介護認定の申請方法|「軽く出すぎない」調査の受け方と手順:30日の核心となる認定申請を、詳しく知りたい方へ。
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- 親が倒れた|入院当日にやること・やってはいけないこと:入院から介護が始まった方は、まずこちらを。
参考にした情報(公的機関)
※本記事は2026年7月時点の情報にもとづく一般的な進め方です。要介護認定の期間や暫定ケアプランの取り扱いは、状況や自治体により異なります。実際の手続きは、地域包括支援センター・ケアマネジャー・お住まいの市区町村にご確認ください。









