「ケアプランって、結局何のこと?」「誰が作るの?」「家族はどう関わればいい?」──要介護認定が出た瞬間に、家族が必ずぶつかる疑問です。
私はケアマネジャーとして、これまで何百件ものケアプランを作成してきました。ケアプランは、介護保険サービスを使うための『設計図』 です。これがしっかり作れていれば、ご本人も家族もラクになりますし、逆にいいかげんなケアプランだと、何年も家族が苦労します。
この記事では、現役ケアマネとして、家族が「ケアプランの読み方・関わり方」が完璧に分かるように、仕組み・作り方・サンプル例まで一気に解説します。
ケアプランとは|30秒で分かる超基本
まず、ケアプランの正体を30秒で押さえましょう。
ケアプランは「介護の設計図」
ケアプランとは、介護保険サービスを「どう」「いつ」「どれくらい」使うかを書いた計画書 のこと。正式名称は「居宅サービス計画書」または「施設サービス計画書」。
作るのはケアマネジャー
ケアプランは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が、本人と家族の意向を聞いた上で作成します。料金は完全無料 (介護保険から全額給付)。
ケアプランがないと介護保険サービスは使えない
要介護認定が出ても、ケアプランがなければ介護保険サービスは1割負担で使えません。原則として認定後すぐにケアマネを決めて、ケアプランを作成する流れになります。
ケアプランの3種類|どれが自分に当てはまる?
ケアプランには3種類あります。本人の状況によって使うものが違います。
種類① 居宅サービス計画書(在宅介護向け)
「自宅で生活しながら介護サービスを使う」場合のプラン 。要介護1〜5の方が在宅で介護を受けるとき、居宅介護支援事業所のケアマネが作ります。これが最も一般的。
種類② 介護予防サービス計画書(要支援向け)
要支援1〜2の方向け 。介護まではいかないが、予防的支援が必要な方。地域包括支援センターの職員が作成します。
種類③ 施設サービス計画書(施設入居向け)
特養・老健・介護医療院に入居している場合のプラン 。施設に所属するケアマネが作成します。
ケアプラン作成の7ステップ|家族が関わる場面
ケアプランは以下の7ステップで作られます。家族が関わるポイントも明示します。
ステップ① ケアマネ事業所を決める
要介護認定が出たら、地域包括支援センターから複数のケアマネ事業所を紹介してもらい、家族が選びます。ここが分岐点 :合うケアマネに当たれるかどうかで、その後の介護生活が大きく変わります。
ステップ② 契約
選んだケアマネ事業所と契約書を交わします。費用は無料。
ステップ③ アセスメント(自宅訪問)
ケアマネが自宅を訪問して、本人の体調・生活状況・困りごと・本人と家族の希望を聞き取ります。約1時間〜2時間。家族の希望もしっかり伝える場面 。
ステップ④ ケアプラン原案作成
アセスメントを元に、ケアマネが「こんなプランはどうですか?」という原案を作成します。
ステップ⑤ サービス担当者会議
ケアマネ・本人・家族・サービス事業者(ヘルパー・デイサービス等)が集まる会議。原案を見ながら意見をすり合わせます。家族が必ず出席 すべき場。
ステップ⑥ ケアプラン交付・サービス開始
修正されたケアプランが本人と家族に交付され、サービスが開始されます。
ステップ⑦ モニタリング(月1回)
ケアマネが月1回以上自宅を訪問して、ケアプランがうまく機能しているか確認。必要に応じて見直します。
ケアプランのサンプル例|要介護2の方の1週間
実際のケアプランがどんなものか、サンプルで見てみましょう。
例:要介護2・75歳女性・独居の場合
本人の希望 :「自宅で過ごしたい。お風呂は週2回入りたい。」 家族の希望 :「平日は仕事で通えないので、安全面を確保したい。」
1週間のケアプラン例
| 曜日 | 朝 | 昼 | 夕 |
|---|---|---|---|
| 月 | 宅配弁当 | デイサービス(入浴含む) | 宅配弁当 |
| 火 | 訪問介護(更衣・服薬) | 訪問看護(健康チェック) | 宅配弁当 |
| 水 | 宅配弁当 | デイサービス | 宅配弁当 |
| 木 | 訪問介護 | 宅配弁当 | 宅配弁当 |
| 金 | 宅配弁当 | デイサービス(入浴含む) | 宅配弁当 |
| 土 | 家族の通い | 家族の通い | 家族の通い |
| 日 | 家族の通い | 家族の通い | 家族の通い |
このプランの月間費用イメージ
- デイサービス(週3回):約1.5万円(1割負担)
- 訪問介護(週2回):約0.6万円
- 訪問看護(週1回):約0.4万円
- 福祉用具レンタル(介護ベッド等):約0.3万円
- 介護保険合計:約2.8万円/月
- 自費(宅配弁当・おむつ等):約3〜5万円/月
合計:月6〜8万円程度。
良いケアプラン vs 悪いケアプランの見分け方
実は、ケアマネによって作るケアプランの質は大きく違います。家族が見抜くべき7つのチェックポイント。
良いケアプランの特徴
- ✅ 本人の希望が中心に書かれている
- ✅ 家族の負担も考慮されている
- ✅ サービスの種類に偏りがない(訪問介護だけ等になっていない)
- ✅ 福祉用具レンタル・住宅改修が入っている
- ✅ 緊急時の対応が明記されている
- ✅ 予防的なショートステイが組み込まれている
- ✅ 3〜6ヶ月後の目標が明確
悪いケアプランの特徴
- ❌ 「とりあえずデイサービス」だけのワンパターン
- ❌ 家族の事情が無視されている
- ❌ 介護保険外のサービス(家事代行等)の提案がない
- ❌ 緊急時の対応がない
- ❌ 「現状維持」しか書かれていない(目標がない)
悪いケアプランを引いてしまったら、迷わずケアマネを変更 してください。包括センターに「ケアマネを変えたい」と伝えればOK。
家族がケアプランを使い倒すための5つのコツ
家族として、ケアプランを「ただもらうもの」ではなく「使い倒す」ための工夫を5つ。
コツ① 自分の意向を遠慮せず伝える
「平日夜しか連絡取れない」「仕事を続けたい」「兄弟との関係が複雑」など、家族の事情を率直に伝えましょう。伝えなければプランに反映されません 。
コツ② サービス担当者会議には必ず出席
最初の会議だけでも必ず出席を。本人だけだと本音を言えないこともあるので、家族の同席は重要です。
コツ③ ケアプランをコピーして家族で共有
兄弟がいるなら、ケアプランをコピーして家族グループLINEで共有。「お母さんは月曜日にデイサービス」など、全員で把握しておきます。
コツ④ モニタリング訪問にもなるべく同席
月1回のケアマネ訪問は、家族の意見を伝える絶好の機会。可能なら土日に振り替えてもらって同席を。
コツ⑤ 半年に1回は「見直し」を申し出る
本人の状態は変化します。「最近こんな困りごとが…」と感じたら、ケアマネにケアプランの見直しを依頼しましょう。
ケアプランを巡る「よくある誤解」3つ
最後に、家族からよく聞く誤解を3つ。
誤解① 「ケアプランはケアマネが勝手に決めるもの」
→ ❌ ケアプランは 本人と家族の意向が中心 。ケアマネが押し付けるものではありません。「この内容ではダメ」と言ってOKです。
誤解② 「ケアプランを変更するのは大変」
→ ❌ いつでも変更できます。本人の状態が変わったら、すぐケアマネに相談を。
誤解③ 「ケアプランは紙1枚」
→ ❌ 第1表(本人の意向・家族の希望・総合方針)、第2表(サービス内容)、第3表(週間スケジュール)などの 複数枚で構成 されています。全部読み込みましょう。
まとめ|ケアプランは家族が「育てる」もの
ケアプランは、ケアマネが作って終わり、ではありません。家族が関わって、3ヶ月ごとに磨き上げていく「育てるもの」 です。
🍀 家族のためのケアプラン活用5原則 ① ケアマネ選びを慎重に(最低3人と面談) ② アセスメント時に意向をしっかり伝える ③ サービス担当者会議に必ず出席 ④ 兄弟・家族で内容を共有する ⑤ 状態変化があればすぐ見直し依頼
ケアプランをしっかり活用できれば、家族の介護負担は 3分の1以下 に減ります。逆に、ケアプランを「他人事」にすると、家族は何年も大変な思いをします。
ぜひ、家族としてケアプランに積極的に関わってください。
