親の介護、何から始める?最初にやってはいけない7つのこと

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親の介護が始まったとき、「何をするか」より大事なのは「何をしないか」です。

——理学療法士として16年、私はそう確信しています。

リハウルフ
こんにちは、リハウルフです。1000組を超えるご家族を見てきて、失敗のパターンは、驚くほど似ています。

介護が始まると、みんな「何をすればいいか」を調べます。それは正しい。

でも、良かれと思ってやったことが、親を弱らせている——そんな場面を、私は数え切れないほど見てきました。

この記事では、最初の1か月で「やってはいけない」7つをお伝えします。手順そのものは、別記事にまとめてあります。

目次

【最大の失敗】良かれと思って、全部やってあげる

これが、いちばん多い。そして、いちばん取り返しがつきません。

現場で、何度も見てきた光景

親が退院してきた。転んだら大変だから、家族はこう考えます。

「危ないから、座ってて」
「私がやるから、動かないで」
「トイレも、ポータブルにしましょう」

親のためを思って、全部やってあげる。

——そして半年後、親は本当に歩けなくなります。

これを廃用症候群といいます。使わない機能は、落ちていく。筋力も、バランスも、飲み込む力も、頭の働きも。

特に高齢者は、落ちるのが早く、戻すのに時間がかかります。一般に、安静に寝ている状態が続くと、筋力は数日単位で低下していくと言われています。1週間寝込んだ分を取り戻すのに、その何倍も時間がかかることがあります。

リハウルフ
手伝いすぎることは、優しさではありません。親の能力を、静かに奪っています。

では、どうすればいいのか

PTが現場で伝えている原則

「できることは、やってもらう。
できないことだけ、手伝う」

時間はかかります。見ていてハラハラします。手を出したくなります。

でも、時間がかかっても自分で立てるなら、待ってあげてください。その3分が、親の足腰を守ります。

危険なときだけ、支える。それが介助です。

※ただし、転倒リスクが高い場合は無理をさせないでください。どこまで自分でやってもらうかは、ケアマネジャーやリハビリ職に相談して決めてください。素人判断は危険です。

やってはいけない7つのこと

  1. ① 全部やってあげる 前述のとおり。親の機能を奪います。「できることは、やってもらう」。
  2. ② 慌てて介護用品を買う 待ってください。ほとんどはレンタルできます。
    車椅子、介護ベッド、手すり、歩行器。介護保険で、月数百円から借りられます。
    しかも状態が変われば、交換できる。買ってしまうと、合わなくなっても使い続けることになります。私は「買ったけど合わなかった福祉用具」が物置で埃をかぶっているお宅を、何軒も見ています。
  3. ③ 住宅改修を、先に工事してしまう これは、お金の面で致命傷になります。
    介護保険の住宅改修(20万円まで)は、工事の「前」に申請するのが原則です。良かれと思って先に手すりを付けてしまい、「対象外です」と言われたご家族を、何度も見てきました。
    数十万円が、まるまる自己負担になります。
  4. ④ 仕事を辞める 絶対に、今すぐ決めないでください。
    介護休業(通算93日・給付金あり)介護休暇(年5日・時間単位で取得可)という制度があります。
    仕事を辞めると、収入が消え、社会とのつながりが消え、そして介護が終わったあとに、何も残りません。復職は、思っているより難しい。
  5. ⑤ 本人に相談せず、施設を決める 情報を集めるのは、いい。でも、勝手に決めないでください。
    「だまされて入れられた」——この感覚は、一生残ります。親子関係が、そこで壊れます。
    そして本人が納得していない施設は、入居後に拒否して、結局戻ってくることが多い。
  6. ⑥ 兄弟に相談せず、ひとりで背負う 「言っても何もしてくれないから」——気持ちは分かります。
    でも、報告だけは、必ずしてください。情報を共有していないと、あとで必ずもめます。「聞いていない」が、いちばんの火種です。
    そして、ひとりで背負った人は、必ず倒れます。
  7. ⑦ 要介護認定の申請を「まだ早い」と先延ばしにする 認定には、申請から約30日かかります。
    「まだ元気だから」「大げさかも」と先延ばしにして、本当に必要になったときに、1か月何も使えない。
    申請は無料です。認定が出ても、使わなければいいだけです。迷ったら、出してください。

「頑張らせすぎ」も、やってはいけません

①の逆を、やってしまう方もいます。

「動かないと弱るって聞いたから」と、親に無理をさせる。痛がっているのに歩かせる。疲れているのに、リハビリを続けさせる。

これも違います

痛みや強い疲労を我慢させても、良いことはありません。転倒すれば、そこで終わりです。

正解は「できることを、できる範囲で、毎日続ける」。気合ではなく、習慣です。

どこまでやらせていいかは、必ず専門職に聞いてください。リハビリ職(PT・OT)や、担当ケアマネに。

リハウルフ
「やりすぎ」も「やらせすぎ」も、どちらも危険です。線引きは、プロに聞いてください。

では、何をすればいいのか

「やってはいけないこと」は分かった。じゃあ、何をすればいいのか。

大きくは、この順番です。

  1. 地域包括支援センターに電話する すべての出発点です。無料で、中立で、地域のことをいちばん知っています。まず、ここに電話するだけでいい。
  2. 要介護認定を申請する 迷ったら、出す。30日かかります。早いほうがいい。
  3. ケアマネジャーを決める ここから、あなたの相談相手ができます。
  4. 職場に相談する(辞めない) 介護休業・介護休暇。まず制度を確認してください。
  5. 兄弟と、役割を分ける 「順番」ではなく「役割」で。動く人・お金を出す人・手続きをする人。

1日ごとの詳しい手順は、こちらにまとめてあります。
→ 親の介護が始まったら最初の30日にやることリスト

施設は「決めない」。でも「調べておく」

矛盾するようですが、これが本音です。

今すぐ決める必要はありません。本人に無断で決めるのは、最悪です。

でも、「いざというときに、選択肢を持っている」ことは、家族を救います。

在宅が限界になってから慌てて探すと、選ぶ時間がありません。そして焦って決めた施設ほど、後悔します。特養は、地域によっては数か月〜年単位の待機になります。

「まだ先」と思っている今のうちに、情報だけは集めておいてください。調べることと、決めることは、違います。

よくある質問

どこまで手伝えばいいのか、分かりません
「できることは、やってもらう。できないことだけ、手伝う」が原則です。ただし、転倒リスクが高い場合は無理をさせないでください。線引きは素人には難しいので、ケアマネジャーやリハビリ職(PT・OT)に、実際に見てもらって決めてください。訪問リハビリを使えば、家の中での動作を専門職が評価できます。
要介護認定は、まだ早いのでは?
迷ったら、出してください。申請は無料です。認定が出ても、使わなければいいだけです。逆に、必要になってから申請すると、1か月間サービスが使えません。「大げさかも」と遠慮する必要は、まったくありません。
介護用品は、本当に買わなくていいのですか?
車椅子・介護ベッド・手すり・歩行器などは、介護保険でレンタルできます。月数百円程度から。状態が変われば交換もできます。ただし、要介護認定を受けていない段階では使えません。また、入浴・排泄関連など、レンタルになじまないものは購入対象です(年間10万円まで補助)。ケアマネに相談してから買ってください。
兄弟が何もしてくれません
それでも報告だけは、続けてください。「何もしないなら口も出すな」と関係を切ると、あとで必ず問題になります(相続の場面で特に)。「動けないなら、お金を出して」と、具体的に役割を提示してください。漠然と「手伝って」では、人は動きません。
仕事を続けられる自信がありません
辞める前に、必ず制度を確認してください。介護休業(通算93日・給付金は賃金の約67%)、介護休暇(年5日・時間単位で取得可)。そして「自分ひとりで介護する」という前提を、まず疑ってください。サービスを使えば、働き続けられることは多いです。

まとめ|優しさが、親を弱らせることがあります

やってはいけない7つ
  • 全部やってあげる(できることは、やってもらう)
  • 慌てて介護用品を買う(レンタルできます
  • 住宅改修を先に工事する(事前申請しないと出ません
  • 仕事を辞める(介護休業・介護休暇を先に確認)
  • 本人に相談せず、施設を決める
  • 兄弟に相談せず、ひとりで背負う
  • 要介護認定を先延ばしにする(30日かかります

介護が始まった日、誰もが「何とかしなきゃ」と思います。その気持ちが、空回りするんです。

全部やってあげたくなる。すぐに用品を揃えたくなる。仕事を辞めて向き合いたくなる。全部、優しさから出た行動です。

でも——その優しさが、親の力を奪い、あなたの人生を削ります。

まず、地域包括支援センターに電話を1本。それだけでいいんです。あとは、プロと一緒に考えていきましょう。

リハウルフ
ひとりで頑張らないでください。それが、いちばんの「やってはいけないこと」です。

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※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の身体状況に対する医学的・治療的助言ではありません。どこまで自分で動いてもらうかの判断は、必ず医師・理学療法士・作業療法士・ケアマネジャー等の専門職にご相談ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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