介護費用が払えない時の対処法|借りる前に使う、公的な支えの全順番

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介護のお金が、足りない。親の年金では、回らない。

——その状況、あなたのやりくりが下手だからではありません。

リハウルフ
こんにちは、理学療法士のリハウルフです。お金の問題で追い詰められるご家族を、たくさん見てきました。手はあります。

介護費用は、平気で家計を圧迫します。そして、「子が自分の貯金を切り崩して立て替える」——この状態が、いちばん危ない。

でも、払えないときに使える制度が、いくつもあります。順番に使えば、負担は大きく下げられます。

お金に困ったときの、正しい順番

①「戻る・軽くなる」制度を、まず全部使う(返さなくていいお金)

② それでも足りなければ、公的な「貸付」(銀行より、まずこちら)

③ 最後の砦は、生活保護(恥ではありません。権利です)

絶対にやってはいけないのは、いきなり消費者金融やカードローンに手を出すことです。

目次

まず「戻る・軽くなる」を全部使う

借りる前に、返さなくていいお金を使い切ってください。これだけで、月々の負担がかなり変わります。

① 高額介護サービス費(超えた分が戻る)

介護保険サービスの自己負担には、月ごとの上限があります。超えた分は、申請すれば戻ります。通知が来たら、必ず申請を。

② 特定入所者介護サービス費(施設費の軽減)

施設に入っている・ショートを使っているなら、これは必須です。所得が低い方は、食費・居住費(部屋代)が大きく軽減されます。申請すると「負担限度額認定証」が発行されます。

③ 高額医療・高額介護合算療養費

1年間(8月〜翌7月)の医療費+介護費の合計にも上限があります。医療と介護、両方使っている世帯は、必ず確認してください。

④ 特別障害者手当(月30,450円)

在宅で重度の介護が必要な方に、月30,450円(令和8年4月〜)。障害者手帳がなくても対象になる場合があります。見落としが非常に多い制度です。

リハウルフ
これらは全部「申請しないともらえない」お金です。詳しくは、下のリンク記事にまとめてあります。

サービスを「減らす」のも、立派な対策

お金の話になると、みんな「増やす」ことばかり考えます。でも、「支出を見直す」ほうが、早く効きます。

  1. ケアマネに「費用を抑えたい」と正直に言う これは、わがままではありません。使っていないサービス、過剰なサービスがないか、一緒に見直せます。言わなければ、ケアマネは気づけません。
  2. 負担割合を、確認する そもそも1割なのか、2割・3割なのか。毎年7月に届く「負担割合証」を見てください。年によって下がることもあります。
  3. 福祉用具は「買う」より「借りる」 車椅子・ベッド・手すりは、レンタルのほうが圧倒的に安い。買ってしまっていませんか。

それでも足りないとき|公的な「貸付」

制度を使い、支出を見直しても、どうしても足りない。そのときは、借りるとしても、まず「公的な貸付」です。

生活福祉資金貸付制度(社会福祉協議会)

低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯を対象にした、公的な貸付制度です。運営は、各地域の社会福祉協議会(社協)

  • 連帯保証人を立てれば、無利子
  • 立てなくても、年1.5%(消費者金融とは、桁が違います)
  • 貸付とあわせて、生活の相談にも乗ってくれる

申込窓口は、市区町村の社会福祉協議会です。「介護の費用で困っている」と相談してください。

親が持ち家なら|不動産担保型生活資金

「家はあるが、現金がない」という高齢者世帯向けの制度です。

自宅を担保に、そこに住み続けたまま、生活資金を借りる。本人が亡くなったあと、家を処分して返済する仕組みです(リバースモーゲージ)。

これも、社会福祉協議会が窓口です。「家を売るしかないのか」と諦める前に、相談してみてください。

絶対に、やめてください

介護費用を、消費者金融やカードローンで借りること。

介護は、いつ終わるか分かりません。高い金利で借り続ければ、介護が終わる前に、あなたの生活が破綻します。借りるなら、必ず公的な制度から。まず社協に相談してください。

最後の砦|生活保護は「恥」ではありません

ここまでやっても、生活が成り立たない。そのときは、生活保護を、正面から考えてください。

誤解を、解いておきます
  • 生活保護は、国民の権利です。恥ずかしいことではありません
  • 親だけが「世帯分離」して、生活保護を受けられる場合があります(子に十分な収入があっても、親世帯だけで判断されることがある)
  • 生活保護を受ければ、介護保険の自己負担が、実質かからなくなります(介護扶助)

「親に生活保護なんて」——そう思う方が多い。でも、あなたが共倒れになるくらいなら、使えるものは使ってください。

まずは市区町村の福祉事務所(生活保護の窓口)、または地域包括支援センターに相談してください。「親の年金だけでは、介護が続けられない」と、正直に。

※生活保護の適用は、資産・収入・扶養など、個別の状況で判断されます。世帯分離の可否も含め、必ず福祉事務所の窓口でご相談ください。

親のお金が「あるのに使えない」問題

お金の相談で、意外に多いのがこれです。「親に貯金はある。でも、引き出せない」

親が認知症になると、親の口座は事実上凍結されます。本人の判断能力が確認できないと、銀行はお金を出しません。結果、子が自分のお金で立て替え続ける——という、おかしな事態になります。

これを防ぐには、親の判断能力があるうちに、手を打っておく必要があります。成年後見制度、家族信託。それぞれ一長一短がありますが、「認知症になってからでは遅い」という点は共通です。

よくある質問

子に収入があっても、親は生活保護を受けられますか?
「世帯分離」をして、親世帯だけで判断される場合があります。子に扶養できるだけの収入があるかは確認されますが、「扶養が絶対条件」ではありません。まず福祉事務所に、正直に状況を話して相談してください。門前払いされることを恐れないでください。
親の年金だけでは、施設に入れませんか?
特別養護老人ホーム(特養)なら、比較的費用を抑えられます。さらに、所得が低い方は「負担限度額認定」で食費・居住費が軽減されます。「年金の範囲で入れる施設はありますか」と、ケアマネに相談してください。諦めるのは、それからです。
社会福祉協議会の貸付は、誰でも借りられますか?
低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯が対象です。また「他から借りるのが困難」であることが条件です。まず社協の窓口で、借りられるかどうかを相談してください。相談は無料です。返済計画も一緒に考えてくれます。
子が、親の介護費用を出す義務はありますか?
法律上、扶養義務はあります。ただし「自分の生活を犠牲にしてまで」という義務ではありません。まず親の資産と年金の範囲で組み立てるのが原則です。子が無理をして共倒れになるのは、本末転倒です。
どこに相談すればいいか、分かりません
まず、地域包括支援センターへ。そこで交通整理をしてもらえます。お金の制度は、介護保険課・社会福祉協議会・福祉事務所と窓口が分かれていますが、包括に相談すれば、どこに行けばいいか教えてくれます。

まとめ|借りる前に、使う。使う前に、相談する

この記事の要点
  • まず「戻る・軽くなる」制度を全部使う(高額介護サービス費・補足給付・特別障害者手当)
  • ケアマネに「費用を抑えたい」と言う。支出の見直しも対策
  • 借りるなら、まず社会福祉協議会(無利子〜年1.5%)
  • 持ち家なら不動産担保型生活資金という手も
  • 消費者金融・カードローンは、絶対に避ける
  • 最後の砦は生活保護。恥ではなく、権利です

お金の問題は、「相談する場所」を知らないだけで、一人で抱え込んでしまいます。

でも、日本には、思っている以上に「支える仕組み」があります。戻るお金、軽くなる制度、公的な貸付、そして最後のセーフティネット。

あなたの貯金を切り崩す前に、まず相談してください。地域包括支援センターへ、社会福祉協議会へ。

お金で追い詰められて、親子で共倒れになる。そんな結末を、迎えないために。使えるものは、堂々と使ってください。

リハウルフ
お金の心配は、心の余裕を奪います。ひとりで抱えず、まず窓口に相談してください。

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参考にした情報(公的機関)

※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。生活福祉資金の貸付条件、生活保護の適用、世帯分離の可否は、個別の状況により判断が異なります。必ず、お住まいの市区町村の社会福祉協議会・福祉事務所・地域包括支援センターにご相談ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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