デイサービスに行きたがらない母|「行きたくない」の本当の理由

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母が、デイサービスに行きたがらない。

——その「行きたくない」、本当に心の問題でしょうか。

リハウルフ
こんにちは、理学療法士のリハウルフです。この記事では、他ではあまり語られない視点をお伝えします。

「行きたくない」と言う親に、多くの記事は「説得のコツ」を教えます。

それも大事です。でも、その前に確認してほしいことがあります。

現場で、何度も見てきたこと

「行きたくない」の裏に、身体の理由が隠れていることがあります。

本人は、それを言いません。言えないんです。恥ずかしいから。

だから、ただ「行きたくない」とだけ言う。
家族は「わがままだ」と思ってしまう。

目次

【最初に確認】「行きたくない」の裏に隠れている、身体の理由

説得を始める前に、この4つを確認してください。ここが原因なら、説得しても意味がありません。解決すべきは、別のところにあります。

  1. ① 尿もれが、こわい これが、いちばん多い。そして、いちばん言えない。
    人前で失敗したら、と思うと、家から出られなくなります。
    女性は、この不安を口にしません。「なんとなく気が進まない」としか言いません。
    パッドを見直す。トイレの位置を確認する。デイの職員に、事前のトイレ誘導を頼む。これだけで、行けるようになった方を、私は何人も見ています。
  2. ② 耳が、聞こえていない 会話に入れないと、その場にいるのが苦痛になります。
    みんなが笑っている。でも、何が面白いのか分からない。聞き返すのも、何度もは申し訳ない。
    だから黙って座っている。そして「もう行きたくない」と言う。
    これは「性格が内向的だから」ではありません。聞こえていないだけです。
  3. ③ 膝や腰が、痛い 痛みがあると、移動そのものが苦痛です。送迎車の乗り降り、施設内の移動。
    でも「痛いから行きたくない」とは言わない。「情けない」と思ってしまうからです。
    まず、痛みを診てもらってください。
  4. ④ 目が、見えづらい 白内障などで見えづらいと、知らない場所は怖い。段差も分からない。人の顔も分からない。
    「見えていますか」と、一度聞いてみてください。
リハウルフ
説得のテクニックより先に、まずここです。身体が原因なら、言葉では絶対に解決しません。

耳の問題は、想像以上に大きい

②について、もう少し書かせてください。

難聴は、閉じこもりの大きな引き金になります。

聞こえないと、会話が減る。会話が減ると、人と会うのが億劫になる。そして家に閉じこもる。

ご家族も、気づきにくい。「最近テレビの音が大きい」——これがサインです。

耳鼻科での受診が第一ですが、家庭内でできる工夫もあります。テレビの音が聞き取りやすくなるだけで、「テレビの前で家族と過ごす時間」が戻ってくることがあります。そこから、外に出る意欲が戻ることも。

女性がデイを拒む「6つの理由」

身体的な理由を確認したうえで。女性には、男性とは違う拒否の理由があります。

① お風呂を、人に見られたくない

これは、非常に大きい。デイの入浴が「大浴場で複数人」だと、それだけで拒否されます。

解決策は明確です。「個浴(一人ずつ入る浴室)はありますか」と、必ず聞いてください。個浴のあるデイなら、通えることがあります。

② 身だしなみが、整えられない

髪が伸びている。白髪が目立つ。化粧をする気力がない。
そんな姿で、人に会いたくない。

「そんなこと」と思わないでください。女性にとって、これは切実です。

訪問理美容という手があります(自治体の助成があることも)。髪を切って、身ぎれいにする。それだけで「行ってみようかしら」に変わることがあります。

③ 人間関係が、しんどい

正直に書きます。デイの中には、実際にグループができています。席順、仲良し、そして仲間外れ。

これは、きれいごとでは済みません。女性同士の関係は、密です。一度「いやな思いをした」ら、二度と行きません。

見学時に、職員が利用者同士の関係をどう調整しているかを見てください。良い職員は、必ず気を配っています。

④ 「私が家をやらないと」

何十年も家事をしてきた方です。「家を空けるわけにいかない」という責任感。

これは、否定してはいけません。その責任感が、その人を支えてきたのですから。

なので、「家事をしなくていい場所」ではなく「家事をする場所」を探す。料理型のデイなら、役割が持てます。

⑤ 「あそこは”ボケた人”が行く所」

差別的に聞こえますが、本人の中では切実な区別です。

「自分はまだ、あちら側じゃない」——それを認めたくない。

だから、「介護」の色が薄い施設を選んでください。リハビリ特化型、カフェ型、趣味型。言葉も変えます。「デイサービス」ではなく「リハビリ」「教室」と。

⑥ 人に迷惑をかけたくない

女性に、特に多い。「お世話になるのが申し訳ない」「他人様に迷惑をかけたくない」。

この方には、「あなたが行くことで、私が助かる」と伝えてください。「助けられる側」ではなく「助ける側」に回してあげる。これが効きます。

伝え方|「あなたのため」は、逆効果です

  1. 「私のため」に言い換える 「お母さんのためだから」→ プライドを傷つけます。
    「私が仕事の間、家に一人だと心配で、集中できないの。行ってくれると、私が助かる」
    これが、いちばん受け入れられます。
  2. 「デイサービス」と言わない 「リハビリに行こう」「体操教室があるって」「お風呂に入りに行こう」。
    嘘ではありません。実際にそうなのですから。
  3. 「1回だけ、体験で」と区切る 「ずっと通う」と思うから、身構えます。
    「合わなかったら、やめていいから」——必ず、この一言を添えてください。
  4. 合わなければ、本当にやめる ここを守らないと、二度と信用されません。
    デイは、変えられます。1つ目が合わなくても、次があります。
  5. 第三者から言ってもらう 家族の言葉は、いちばん聞いてもらえません。これは、悔しいけれど事実です。
    医師、ケアマネ、ヘルパー。「先生がそう言うなら」——この一言で決まることが、本当に多い。
    遠慮せず、ケアマネに「母に勧めてもらえませんか」と頼んでください。
リハウルフ
家族が100回言うより、ケアマネが1回言うほうが効く。これは、本当によくあることです。

見学で、必ず確認してほしい5つ

女性の場合、ここを見てください
  • 「個浴はありますか?」(大浴場だけなら、拒否の可能性が高い)
  • 「トイレは、フロアから近いですか?」(尿もれの不安がある方には決定的)
  • 「同年代の女性は、何人いますか?」(一人だけ浮くと、続きません)
  • 職員が、利用者を子ども扱いしていないか
  • 本人が、帰りに何と言ったか(これが最終判断です)

「個浴はありますか」——この質問を、忘れないでください。これだけで通えるようになる方が、実際にいます。

合うデイを探すには

探し方は、ケアマネジャーに聞くのが最短です。地域のデイを、ほぼ全部知っています。

そのとき、こう伝えてください。

「母は、お風呂を人に見られるのを嫌がります。個浴のあるデイはありますか?」

「母は料理が好きなんです。そういうデイ、ありませんか?」

具体的に伝えるほど、良い提案が返ってきます。「どこかいいデイありますか」では、無難な答えしか返りません。

それでも、行かないとき

手を尽くしても、行かないことがあります。

無理強いは、しないでください

泣いて嫌がる人を、無理やり送迎車に乗せる。私は、それを見たことがあります。

その方は、二度と行きませんでした。そして、家族との関係も壊れました。

デイが唯一の答えではありません。訪問介護、訪問リハビリ、訪問入浴。「家に来てもらう」という選択肢があります。

デイに行かせることが目的ではありません。目的は、本人が穏やかに過ごし、家族が倒れないこと。そのための手段は、ひとつではありません。

ケアマネに「デイは難しそうです。別の方法はありますか」と、正直に相談してください。

よくある質問

母は「お風呂は家で入る」と言います
個浴のあるデイを探してください。「一人ずつ入れる浴室ですか」と確認を。大浴場での入浴に抵抗がある方は、非常に多いです。それでも難しければ、「訪問入浴」という選択肢もあります。自宅で、専門スタッフが入浴させてくれます。
何度誘っても断られます。しつこく誘うべき?
回数より、伝え方を変えてください。同じ言い方で10回誘っても、結果は同じです。「私が助かる」に変える。第三者(医師・ケアマネ)から言ってもらう。そして「行かない理由」を、もう一度聞いてください。身体的な理由が隠れているかもしれません。
最初は行っていたのに、行かなくなりました
何かがあった可能性が高いです。人間関係、失禁の失敗、いやな思いをした。本人は言いません。デイの職員に「最近、何かありませんでしたか」と聞いてください。職員は、たいてい気づいています。
デイを変えるのは、失礼ではないですか?
まったく失礼ではありません。ケアマネに伝えれば、手続きしてくれます。合わない場所に無理に通わせるほうが、本人にとって不幸です。遠慮しないでください。
認知症がある場合も、同じ対応でいいですか?
対応が変わります。認知症がある場合、拒否の理由が「不安」や「混乱」であることが多く、説得より環境の調整が有効です。少人数の「認知症対応型」が合うこともあります。ケアマネに、認知症であることを必ず伝えてください。

まとめ|「行きたくない」の理由を、聞いてください

この記事の要点
  • 説得の前に、身体の理由を疑う(尿もれ・難聴・痛み・視力
  • 女性特有の理由は入浴の羞恥心・身だしなみ・人間関係・家事の責任感
  • 見学で「個浴はありますか」を必ず聞く
  • 「あなたのため」ではなく「私が助かる」と伝える
  • 第三者(医師・ケアマネ)から言ってもらうのが、いちばん効く
  • 無理強いはしない。訪問サービスという選択肢もあります

「行きたくない」——その一言の裏に、本人にも説明できない事情があります。

恥ずかしくて言えないこと。認めたくないこと。わがままに見える言葉の下に、深い理由が隠れています。

だから、まず聞いてください。「何が、いやなの?」と。

答えてくれないかもしれません。それでも、聞いてくれた、という事実は伝わります。

リハウルフ
説得する前に、理解しようとする。遠回りに見えて、それがいちばんの近道です。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の身体状況・症状に対する医学的助言ではありません。難聴・尿失禁・痛み・視力低下などが疑われる場合は、必ず医師にご相談ください。デイサービスの利用については、担当ケアマネジャーにご相談ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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