介護費用シミュレーション|年金だけで足りる?月額計算と対策【現役ケアマネ解説】

「親の介護、月いくらかかるの?」「親の年金で足りる?」「自分の貯金から出さないとダメ?」──親の介護が現実になった時、家族が最初に直面するのが お金の不安 です。漠然と「お金がかかる」と分かっていても、 具体的な金額 が見えないと不安は消えません。
私はケアマネとして、ご家族から「結局うちはいくらかかるんですか?」と何百回も聞かれてきました。実は、 要介護度・在宅/施設・地域差 で月額は大きく変わります。「介護費用は月10万円」という一律の数字は存在しません。 自分のケースで具体的にシミュレーション することが、不安解消の第一歩です。
この記事では、現役ケアマネとして「介護費用の月額シミュレーション」を、 要介護度別・在宅/施設別 にリアルな数字で解説します。 読み終わるころには、自分の家のケースで月額が計算できる ようになります。
介護費用は「3つの内訳」で考える
「介護費用」と一言で言っても、3つの内訳に分かれます。
| 内訳 | 内容 | 主な費用 |
|---|---|---|
| ① 介護保険サービス費 | デイサービス・訪問介護等 | 自己負担1〜3割 |
| ② 自費(介護保険外) | 宅配弁当・物販・自費サービス | 全額自己負担 |
| ③ 医療費・生活費 | 通院・薬・食費・光熱費 | 高齢者医療制度+実費 |
これらを合算したものが 「月額介護費用」 です。「介護保険サービス費だけ」を見ると安く感じますが、実際は 自費分が大きい のが現実です。
在宅介護|要介護度別の月額相場
在宅介護の月額相場を、要介護度別にシミュレーションします。 数字は目安 なので、地域・サービス内容で変動することをご理解ください。
要支援2の月額シミュレーション
軽度の介護が必要な状態です。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 介護保険サービス(週1回デイ+週1回訪問介護) | 約8,000円(1割負担) |
| 宅配弁当(週3食) | 約12,000円 |
| おむつ・物販 | 約5,000円 |
| 通院・薬 | 約10,000円 |
| 合計 | 約35,000円 |
→ 親の年金内で十分賄える レベル。
要介護2の月額シミュレーション
中等度の介護が必要な状態です。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 介護保険サービス(週3回デイ+週2回訪問介護) | 約25,000円(1割負担) |
| 福祉用具レンタル(介護ベッド等) | 約2,000円 |
| 宅配弁当(毎日1食) | 約20,000円 |
| おむつ・物販 | 約10,000円 |
| 通院・薬 | 約15,000円 |
| 合計 | 約72,000円 |
→ 親の年金(月12〜15万円)でほぼ賄える範囲。
要介護3の月額シミュレーション
重度に近い介護が必要な状態。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 介護保険サービス(週4回デイ+訪問介護週3回+訪問看護週1回) | 約35,000円(1割負担) |
| 福祉用具レンタル | 約3,000円 |
| 宅配弁当・配食 | 約25,000円 |
| おむつ・物販 | 約15,000円 |
| 通院・薬 | 約20,000円 |
| 合計 | 約98,000円 |
→ 親の年金で やや厳しくなる レベル。家族の補填が必要なケースも。
要介護5の月額シミュレーション
寝たきり等の最重度介護。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 介護保険サービス(毎日サービス、訪問看護週3) | 約50,000円(1割負担) |
| 福祉用具レンタル(電動ベッド・エアマット等) | 約5,000円 |
| 宅配弁当・配食(やわらか食) | 約30,000円 |
| おむつ・物販(多量) | 約25,000円 |
| 通院・薬・在宅医療 | 約30,000円 |
| 合計 | 約140,000円 |
→ 親の年金では 賄いきれない ことが多く、家族の補填や施設入居の検討が必要。
施設入居|タイプ別の月額相場
施設入居の月額相場をタイプ別に整理します。
| 施設タイプ | 月額 | 入居一時金 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 8〜13万円 | 0円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 9〜15万円 | 0円 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 13〜25万円 | 0〜数十万円 |
| 認知症グループホーム | 12〜18万円 | 0〜数十万円 |
| 介護付き有料老人ホーム | 15〜30万円 | 0〜数千万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 10〜25万円 | 0〜数百万円 |
注目すべきは 「特養なら親の年金内で収まる」 ケースが多いこと。月額10万円程度の特養なら、 親の年金(月12〜15万円)で十分賄える 可能性があります。「介護施設の入居一時金が払えない時の対処法」記事も参考に。
自分の家庭でシミュレーション|3ステップ
「で、結局うちはいくらかかるの?」を計算する具体的な手順です。
ステップ1|親の収入を見える化
まず親の月の収入を洗い出します。
- 国民年金(満額:月6万8,000円)
- 厚生年金(平均:月14万6,000円)
- 共済年金(平均:月20万円前後)
- その他(不動産収入・配当・パート収入等)
80歳前後の単身女性の平均月収=12〜15万円 が目安。男性なら15〜20万円が一般的です。
ステップ2|介護費用の月額を試算
要介護度と在宅/施設で、上記の表を参考に試算します。
例:母(要介護2・在宅)の場合
- 介護保険サービス:月25,000円
- 宅配弁当:月20,000円
- おむつ・物販:月10,000円
- 通院・薬:月15,000円
- 雑費:月10,000円
- 合計:月80,000円
ステップ3|親の収入で足りるか計算
例:母の年金 月13万円 − 介護費用 8万円 = 月5万円の余裕
→ この場合、家族の取り崩しは 不要 。
親の収入で足りない場合
足りない分を「家族でどう負担するか」を兄弟で話し合います。
- 経済力に応じて比例負担
- 介護に時間を使う人ほど 金額負担を軽く
- 月額○万円ずつ拠出
- 不足時は別途協議
「兄弟がもめない話し合いマニュアル」記事も参考に。
介護費用を3割減らす5つの公的制度
知らないと損する公的制度を5つ紹介します。
制度① 高額介護サービス費
月の介護費用が一定額(所得別)を超えた場合、 超過分が後から戻ってきます 。
- 一般所得:月44,400円超→還付
- 住民税非課税:月24,600円超→還付
申請は市区町村の介護保険課。「高額介護サービス費」記事も参照。
制度② 高額医療・高額介護合算制度
医療費と介護費を合算して、 年間の上限を超えた分が還付 される制度。年単位で見直すと結構な額が戻ります。
制度③ 障害者控除
要介護認定者は 「障害者控除対象者認定書」 を市区町村で取得すれば、税法上の障害者として控除を受けられます。年間数万〜十数万円の節税。
制度④ 医療費控除
年間医療費10万円超で控除。介護関連の医療系サービス・おむつ代も対象。「2026年確定申告」記事も参照。
制度⑤ 自治体の独自制度
紙おむつ給付・配食サービス助成・介護タクシー助成など、自治体独自の支援が多数あります。地域包括支援センターに「うちの市の独自制度を教えて」と聞いてみてください。
介護費用シミュレーション|10年後の見通し
介護は 長期戦 です。「今月いくら」だけでなく、 「10年でいくらかかるか」 を見ておくことが大事。
10年シミュレーション例(在宅介護)
年齢上昇に伴い、介護度も上がっていくと仮定します。
| 期間 | 要介護度 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|---|
| 1〜2年目 | 要介護1 | 月50,000円 | 年60万円 |
| 3〜5年目 | 要介護2 | 月80,000円 | 年96万円 |
| 6〜8年目 | 要介護3 | 月100,000円 | 年120万円 |
| 9〜10年目 | 要介護4 | 月130,000円 | 年156万円 |
| 10年合計 | 約1,000万円 |
→ 在宅介護10年で 約1,000万円 が目安。親の年金+家族の補填で乗り切る計算が必要です。
10年シミュレーション例(施設入居)
| 期間 | 施設タイプ | 月額 | 年額 |
|---|---|---|---|
| 1〜10年目 | 特養 | 月10万円 | 年120万円 |
| 10年合計 | 約1,200万円 |
→ 特養なら 親の年金内で10年カバー可能 なケースが多い。 特養が経済的に最強 という事実は覚えておきましょう。
FP相談で家計シミュレーション
10年単位の介護費用シミュレーションは、 FP(ファイナンシャルプランナー)に依頼 するのが最短ルート。
おすすめサービスは ほけんの窓口 (全国店舗・対面相談)、 マネプロ (オンライン相談)、 保険見直しラボ (訪問相談)。すべて無料で何度でも相談できます。
FP相談で確認すべきこと
- 介護費用の長期シミュレーション
- 親の資産(年金・預貯金・不動産)の整理
- 公的制度の活用漏れチェック
- 民間保険の見直し
- 自分の老後資金との両立
→ 月数千円〜数万円の節約が見つかる ことが多数。家族の老後資金との両立まで考えられるのは FPだけの強み です。
介護費用を抑える7つの工夫
家計負担を減らすための具体的な工夫を紹介します。
工夫1|介護保険サービスをフル活用
「自費でやるより介護保険サービス」を徹底。 月の限度額 までフル活用しましょう。
工夫2|福祉用具はレンタルが基本
介護ベッド・車椅子は 介護保険レンタル で月数百円。購入より圧倒的にお得。「介護ベッド比較」記事も参考に。
工夫3|住宅改修は20万円助成
手すり・段差解消などの改修は 介護リフォーム助成20万円 を活用。実質1〜2万円で済みます。
工夫4|自治体助成を全部申請
紙おむつ給付・配食助成・介護タクシー助成など、 自治体独自制度 を漏れなく申請。
工夫5|兄弟で費用分担
「自分だけで払う」と思い込まず、 兄弟で公平に分担 。書面化してトラブル防止。
工夫6|実家活用(売却・賃貸)
親が施設入居したら、 実家を売却または賃貸化 して資金確保。「親の介護で実家どうする」記事も参照。
工夫7|FP相談で全体最適
家計全体を見て、 最適な支出構造 を作る。1回の無料相談で月数万円の節約が見つかることも。
まとめ|数字で見える化すれば不安は減る
介護費用の不安は、 「数字で見える化」 することで大きく減らせます。「漠然と不安」より「具体的に試算」が大事です。
🍀 介護費用シミュレーション5原則 ① 親の年金+介護費用の差額を計算 ② 要介護度・在宅/施設で月額が変わる ③ 公的制度フル活用で月額3割減 ④ 特養なら親の年金内で収まることも ⑤ FP無料相談で長期シミュレーション
10年単位の介護費用は 約1,000万円 が目安。親の年金+家族の補填+公的制度+自治体助成で乗り切る計算が必要です。 FP無料相談 で家計の全体最適を始めましょう。