親の通院に付き添えない|有給を使い切る前に知るべき制度と方法

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月に1回の通院。そのたびに、有給を1日つぶしている。

——その働き方、変えられるかもしれません。

リハウルフ
こんにちは、理学療法士のリハウルフです。通院に振り回されて疲れ切ったご家族を、数え切れないほど見てきました。

親の通院は、想像以上に重い負担です。

朝、実家に迎えに行く。病院で3時間待つ。診察は5分。薬局でまた待つ。家に送り届けて、自宅に帰る頃には夕方。丸1日、消えます。

これが月1回、あるいは複数の科にかかっていれば月2〜3回。有給が、どんどん溶けていきます。

この記事の結論
  • 介護休暇は「時間単位」で取れます。丸1日休む必要はありません
  • 介護保険のヘルパーは、原則「院内」には入れません。ここが最大の壁
  • でも「原則」には例外があります。諦める前に、ケアマネへ
  • そもそも「通院をやめる」という選択肢もあります(訪問診療)
目次

なぜ、通院の付き添いはこれほど大変なのか

時間が読めない診察は5分。でも待ち時間は3時間。予定が立てられません
平日しかない病院は平日日中。働いている人は、休むしかない
移動がきつい歩けない親を、車に乗せて、降ろして、院内を移動させる。介助する家族の腰も限界です
説明を聞く役本人だけでは、医師の話を正確に理解できないことがある。誰かが聞かないといけない

【核心】介護保険のヘルパーは、院内に入れません

ここを知らずに困っている方が、本当に多い。

介護保険の「通院介助」の範囲

使えるのは、原則ここまで。

  • 自宅から、病院の玄関まで
  • 受診の受付まで
  • 病院の玄関から、自宅まで

院内での待ち時間の付き添い、診察室への同行は、原則として対象外です。

「病院の中は、病院のスタッフが対応すべき」という考え方が前提になっているためです。

リハウルフ
つまり「病院に着いたら、そこから先は家族の仕事」。だから会社を休むことになるんです。

ただし、「原則」には例外があります

ここで諦めないでください。

院内介助が、介護保険で認められるケースがあります。たとえば、こういう場合です。

院内介助が認められる可能性があるケース

  • 認知症があり、常時見守りが必要(目を離すと動き回ってしまう)
  • 院内で排泄介助が必要
  • 病院のスタッフでは、対応が難しい状況にある

判断は、ケアマネジャーと市区町村が行います。自治体によって解釈が異なるため、「うちの場合はどうですか」と、必ず個別に相談してください。

「原則ダメ」で終わらせず、ケアマネに聞く。これだけで、道が開けることがあります。

【知らないと損】介護休暇は「時間単位」で取れます

この記事で、いちばんお金に直結する話です。

通院のたびに有給を1日使っている方。その必要は、ないかもしれません。

介護休暇の中身(育児・介護休業法)
  • 対象家族1人につき、年5日(2人以上なら年10日)
  • 1日単位だけでなく、「時間単位」で取得できます(令和3年1月から)
  • 対象家族は、配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の父母
  • 口頭での申し出でも取得できます(書面に限定されていません)
  • 有給か無給かは、会社の規定によります
リハウルフ
「時間単位」。ここが決定的です。丸1日休まなくていいんです。

診察に必要なのが3時間なら、3時間だけ抜ける。午前中に付き添って、午後から出社する。あるいは、午前だけ働いて、午後に病院へ行く。

貴重な有給を、丸1日消費する必要はありません。

人事に、こう聞いてください

「介護休暇を、時間単位で取得したいのですが」

「うちにはそんな制度はない」と言われても、これは法律で定められた制度です。会社が独自に「ない」ことにはできません。

※ただし、時間単位での取得が困難と認められる業務について、労使協定で除外されている場合があります。就業規則を確認してください。

通院付き添いの解決策4つ

① 介護タクシー(移動だけ任せる)

車椅子のまま乗れる車で、自宅から病院まで送迎してくれます。介護保険が使える場合、費用を抑えられます。

ただし、院内での付き添いは含まれないことがほとんどです。「運ぶ」問題は解決しますが、「付き添う」問題は残ります。

② 自費ヘルパー(全部任せる)

介護保険外のサービスなら、院内での付き添いも、診察室への同行も頼めます。全額自己負担ですが、「丸ごと任せられる」のはこれだけです。

費用は、1時間3,000円台〜(サービスにより異なります)。通院1回で、およそ1万円前後と考えてください。

冷静に、計算してみてください

有給1日を、1万円で買えるとしたら。

あなたの日給がそれ以上なら、経済的には「頼んだほうが得」です。

そして何より、有給は「自分のために使えるもの」として残ります。介護は長期戦です。休む日は、必ず必要になります。

③ 訪問診療に切り替える(=通院をやめる)

これが、私が現場でいちばん勧めている解決策です。

発想を変えてください。「どう通院するか」ではなく、「通院しない」。

訪問診療という選択肢

医師が、家に来てくれます。定期的に訪問し、診察・薬の処方をしてくれます。

  • 通院の付き添いが、そもそも不要になる
  • 移動の負担がゼロ。本人がいちばん楽
  • 待ち時間もゼロ
  • 訪問看護と組み合わせれば、体調管理も任せられる

通院が「毎回、家族総出の一大イベント」になっているなら、切り替えを検討する時期です。

まず、いまの主治医に相談してください。「通院が難しくなってきました。訪問診療は可能でしょうか」と。地域包括支援センターやケアマネも、地域の訪問診療医を知っています。

リハウルフ
「病院に連れて行かなきゃ」という思い込みを、まず外してください。来てもらう方法が、あります。

④ 家族で分担する

兄弟がいるなら、「順番に」ではなく「役割で」分けてください。

近くに住む人が付き添い、遠方の人が費用を出す。これは、まったく不公平ではありません。むしろ、これが公平です。

「近い人が全部やる」は、必ず破綻します。そして、その恨みは何十年も残ります。

状況別|あなたの正解はどれか

歩けるが、付き添いが必要介護休暇(時間単位)+公共交通機関
車椅子・移動が困難介護タクシー+家族の付き添い
平日にどうしても休めない自費ヘルパーに丸ごと依頼
認知症で、院内で目が離せないケアマネに「院内介助」を相談/自費ヘルパー
通院自体が、本人にとって過酷訪問診療に切り替える
遠距離で、頻繁に行けない訪問診療+自費ヘルパー

費用の比較

介護休暇(時間単位)会社の規定による(有給・無給どちらもあり得る)
有給を消費せずに済む点が大きい
介護タクシー移動距離による。介護保険が使える場合あり
自費ヘルパー通院1回で1万円前後(サービス・時間による)
訪問診療医療保険適用。通院より高くなる場合もあるが、付き添い費用はゼロ

※費用はサービス・地域・自己負担割合により大きく異なります。詳細はケアマネジャーや各事業者にご確認ください。

よくある質問

介護休暇は、有給ですか?
会社の規定によります。法律上、有給とすることは義務づけられていません(無給でも違法ではありません)。ただし無給だとしても、「欠勤扱い」にはならず、貴重な年次有給休暇を消費せずに済みます。就業規則を確認してください。
会社に「介護休暇の制度はない」と言われました
それは通りません。介護休暇は育児・介護休業法で定められた制度で、会社が「ない」ことにはできません。就業規則に書かれていなくても、法律上は取得できます。困った場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。
ヘルパーに院内介助を頼んだら、断られました
介護保険では原則対象外なので、事業所の判断としては妥当です。ただし認知症で常時見守りが必要な場合などは、認められる可能性があります。ヘルパー事業所ではなく、ケアマネジャーに相談してください。判断するのはケアマネと市区町村です。
訪問診療にすると、専門的な検査ができないのでは?
その通りです。精密検査や専門的な治療が必要なときは、病院を受診する必要があります。訪問診療は「日常的な管理」を担うもの。必要に応じて、病院と使い分けるのが現実的です。まず主治医に相談してください。
親が「ひとりで行ける」と言い張ります
医師の説明を本人が正確に理解できているか、薬を指示どおり飲めているかを確認してください。不安があれば、「私が先生に聞きたいことがあるから」と、あなたの用事として同行するのが有効です。本人を否定せずに済みます。

まとめ|ひとりで背負わないでください

この記事の要点
  • 介護休暇は「時間単位」で取れる(年5日・法律上の権利)
  • 介護保険のヘルパーは、原則「院内」に入れない
  • ただし認知症の見守りなど、例外が認められる場合がある。ケアマネへ相談を
  • 丸ごと任せるなら自費ヘルパー(通院1回で1万円前後)
  • 最強の解決策は「通院をやめる」=訪問診療への切り替え
  • 兄弟とは「順番」ではなく「役割」で分担する

通院の付き添いは、「たかが数時間」に見えて、家族の人生を確実に削っていきます。

有給が消え、職場で気まずくなり、自分の休みがなくなる。それが何年も続く。そして、静かに限界が来ます。

制度を使ってください。人に頼んでください。そもそも通院をやめる方法も、あります。

親の通院に付き添えないことは、親不孝ではありません。あなたが働き続けることも、生活を守ることも、同じくらい大切なことです。

リハウルフ
あなたが倒れたら、通院どころではなくなります。まず、自分の生活を守ってください。

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参考にした情報(公的機関)

※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。介護保険における院内介助の可否は、自治体・ケアプランにより判断が異なります。個別の可否は、担当ケアマネジャーおよびお住まいの市区町村にご確認ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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