在宅介護のはじめ方|「気合」ではなく5本の柱で回す仕組み

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在宅介護は、気合いと愛だけでは続きません。

続けている家族は、みんな「仕組み」で回しています。

リハウルフ
こんにちは、理学療法士のリハウルフです。「頑張る家族」ほど、半年で倒れます。頑張らない仕組みを作りましょう。

親の在宅介護が始まる。「私が、しっかり見なきゃ」——その気持ちは、尊いです。

でも、私が現場で見てきた「うまくいっている家族」は、驚くほど頑張っていません。正確には、頑張らなくていい仕組みを、最初に作っています。

この記事では、在宅介護を支える「5本の柱」をお伝えします。この5つを最初の1か月で組み立てれば、在宅介護は、ぐっと続けやすくなります。

目次

始める前に|3つの誤解を、解いておく

誤解①「家族が頑張れば、なんとかなる」

なりません。介護は、いつ終わるか分かりません。全力疾走を、何年も続けられる人はいません。

最初から「自分がいなくても回る」設計にする。それが、長く続けるコツです。

誤解②「プロに任せるのは、お金がかかる」

介護保険を使えば、自己負担は1〜3割です。プロの手が、驚くほど安く借りられます。

家族が仕事を辞めて介護するより、はるかに経済的です。

誤解③「手伝いすぎるのが、優しさ」

これが、いちばん危険な誤解です。全部やってあげると、親の「できる力」が落ちていきます(廃用症候群)。

「できることは、やってもらう」。それが、本当の優しさです。

在宅介護を支える「5本の柱」

在宅介護は、この5つで支えます。1本でも欠けると、どこかに無理がきます。

① 食事栄養を確保し、調理の負担を減らす
② 見守り離れていても安否が分かる安心
③ 身体ケア入浴・排泄・リハビリをプロに任せる
④ 環境整備転ばない家にする
⑤ レスパイト家族が休む時間を確保する
リハウルフ
全部を完璧にしなくていい。まず1本ずつ、順番に立てていきましょう。

柱①|食事|最初に音を上げるのは、ここ

在宅介護で、家族が最初に限界を感じるのが「食事」です。1日3回、365日。作り続けるのは、想像以上の重労働です。

ここは、迷わず外注してください。高齢者向けの配食サービスなら、栄養バランスも、やわらかさも配慮されています。「毎食、手作り」の呪縛から、まず自由になりましょう。

配食サービスの選び方(噛む力・飲み込む力で選ぶ)は、こちらで詳しく。
→ 高齢者向け配食サービス7社比較|噛む力・飲み込む力で選ぶ

柱②|見守り|1万円で、家族の不安が9割減る

特に、離れて暮らす親。「今日、無事だろうか」——この不安は、じわじわと家族を消耗させます。

見守りカメラやセンサーは、数千円〜1万円程度で導入できます。スマホで様子が分かるだけで、あなたの不安は劇的に減ります。そして、その安心が、仕事にも集中させてくれます。

見守りカメラの選び方は、こちらで。
→ 親の見守りカメラおすすめ8選|選び方を解説

柱③|身体ケア|「全部自分でやろう」をやめる

入浴、排泄、移乗。これらを家族が全部抱えると、まず腰を壊します。私は、親より先に倒れた家族を、何人も見てきました。

特に入浴介助は、家族の腰を壊す原因の第一位です。ここは、デイサービスや訪問入浴で外注してください。プロは、体を痛めない技術を持っています。

身体ケアで使えるサービス
  • デイサービス|入浴・食事・機能訓練。日中預かってもらえる
  • 訪問介護(ヘルパー)|自宅で身体介護・生活援助
  • 訪問入浴|専用の浴槽を持ち込んで入浴させてくれる
  • 訪問リハビリ・デイケア|専門職がリハビリ

どれを使うかは、ケアマネジャーと相談して組み立てます。

そして、忘れないでください。「できることは、本人にやってもらう」。手伝いすぎは、親の力を奪います。プロは、その「さじ加減」も分かっています。

柱④|環境整備|PTとして、声を大にして「転倒予防」

理学療法士として、これだけは強く言わせてください。高齢者の転倒は、寝たきりの入口です。

転んで骨折 → 入院 → 動かない間に筋力低下 → そのまま寝たきり。この連鎖を、私は数え切れないほど見てきました。そして、その多くは「家の中のちょっとした工夫」で防げたものです。

まず手をつける場所

  • トイレ・浴室|手すり(回数が多く、濡れていて危険)
  • 玄関の段差|手すり・踏み台
  • ベッド周り|起き上がり・立ち上がりの支え
  • |つまずくもの(コード・マット)を撤去

手すりの工事は、介護保険で20万円まで対象。ただし工事の「前」に申請が必要です。

手すりの選び方・介護保険の使い方は、こちらで。
→ 介護用手すりおすすめ7選|買う前に知るべき「レンタル」と「20万円」

リハウルフ
手すり1本で、暮らしが変わる人を、本当にたくさん見てきました。ここはケチらないでください。

柱⑤|レスパイト|家族が「予防的に」休む

最後の柱、そしていちばん忘れられがちな柱です。

レスパイト=家族が休むための仕組みです。ショートステイ、デイサービス、家事代行。「限界を感じてから」ではなく「元気なうちから、定期的に」休んでください。

在宅介護が終わるのは、多くの場合、家族が先に倒れるからです。あなたが倒れたら、その瞬間に在宅介護は終わります。だから、休むことは、親のためでもあるのです。

「休む罪悪感」の手放し方、ショートステイの使い方は、こちらで。
→ 介護のレスパイトケア|「休む罪悪感」を手放す方法と使い方

お金のリアル|在宅介護は、月いくら?

気になるお金の話。結論から言うと、施設よりずっと安く済みます。

介護保険サービス自己負担1〜3割(要介護度で上限あり)
配食サービス1食あたり数百円〜(自費)
見守り機器数千円〜1万円程度(初期費用)
おむつ・日用品月数千円〜(自治体の助成あり)

目安として、要介護2で月7〜10万円程度(サービスの使い方で変わります)。施設入居の半額以下になることも多いです。

そして、戻ってくるお金・もらえるお金も、たくさんあります。高額介護サービス費、特別障害者手当、医療費控除。使える制度は、必ず使ってください。

使えるお金の制度は、こちらにまとめてあります。
→ 介護で使えるお金の制度|申請しないともらえない7つ

まず、何から始める?

  1. 地域包括支援センターに電話する すべての出発点です。無料で、中立で、地域のことをいちばん知っています。
  2. 要介護認定を申請する 5本の柱を、介護保険で支える土台になります。迷ったら、出す。
  3. ケアマネジャーと、5本の柱を組み立てる 食事・見守り・身体ケア・環境・レスパイト。「全部一度に」でなくていい。優先順位をつけて。

よくある質問

5本の柱、全部を最初からやるべきですか?
いいえ。一度に全部は無理です。まず「食事」と「見守り」から始めるご家族が多いです。負担の大きいところから、1本ずつ立てていってください。ケアマネと相談しながら、優先順位を決めましょう。
親が「他人に世話されたくない」と言います
よくあります。まずデイサービスの体験や、短時間のヘルパーから始めてみてください。「1回だけ」なら受け入れやすい。そして、あなたが倒れたら、結局本人も困ります。「私が助かるから」という伝え方も有効です。
仕事をしながら、在宅介護はできますか?
できます。むしろ、それが前提です。5本の柱を「自分がいなくても回る」ように組めば、働きながら続けられます。仕事を辞めるのは、いちばん避けてほしい選択です。介護休業・介護休暇も使えます。
どこまで自分でやってもらうべきか、分かりません
「できることは、やってもらう。できないことだけ、手伝う」が原則です。ただし転倒リスクがある場合は無理をさせないこと。線引きは、ケアマネや訪問リハビリの専門職に、実際に見てもらって決めてください。

まとめ|「気合」ではなく「仕組み」で勝つ

在宅介護を支える5本の柱
  • ① 食事|迷わず配食サービスを使う
  • ② 見守り|カメラ・センサーで不安を減らす
  • ③ 身体ケア|入浴・排泄はプロに任せる
  • ④ 環境整備|転ばない家にする(転倒は寝たきりの入口)
  • ⑤ レスパイト|元気なうちから、定期的に休む

在宅介護は、「愛情の量」で決まるのではありません。「仕組みの完成度」で決まります。

ひとりで抱えて、頑張って、倒れる。それが、いちばん避けたい結末です。プロと制度を使い倒して、あなた自身の生活も守りながら続ける。それが、親のためでもあります。

まず、地域包括支援センターに電話1本。そこから、5本の柱を、一緒に立てていきましょう。

リハウルフ
頑張らない仕組みを作ることが、いちばんの頑張りです。ひとりで抱えないでください。

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※本記事の制度・費用に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづく目安です。費用はサービスの使い方・地域・自己負担割合により異なります。個別の内容は、担当ケアマネジャー・地域包括支援センターにご確認ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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