在宅介護の家事代行|“保険で頼めない家事”を任せる選び方

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「掃除も洗濯も料理も、全部自分がやらないと回らない」——在宅介護をしていると、いつの間にか家事が二世帯分に膨れ上がり、気づけば自分の時間がゼロになっています。

そんなとき頼れるのが家事代行ですが、多くの人がこう思っています。「介護保険のヘルパーに頼めばいいのでは?」——実はここに、大きな落とし穴があります。介護保険のヘルパーには「頼めない家事」がたくさんあるのです。

私は理学療法士・ケアマネジャーとして、在宅介護のご家族を数多く支えてきました。この記事では、家事代行と介護保険ヘルパーの決定的な違い、使うべきタイミング、料金、そして競合サイトが書かない「親が他人を家に入れたがらない問題」の乗り越え方まで、現場目線でお伝えします。

目次

介護の家事代行とは|介護保険ヘルパーとの決定的な違い

まず、混同されがちな2つを整理します。介護保険のヘルパー(訪問介護)家事代行は、似ているようでまったく別物です。

項目介護保険ヘルパー家事代行
対象要介護認定を受けた本人誰でも(家族もOK)
目的本人の自立支援家事そのものの代行
費用原則1〜3割負担(安い)全額自己負担
できる家事の範囲本人の分だけ・制限が多い自由度が高い
身体介護できる(入浴・排泄など)できない

ポイントは2つ。介護保険ヘルパーは安いが「できないことが多い」。家事代行は自由だが「身体介護はできない」。この違いを理解すると、どちらを・いつ使うべきかが見えてきます。

リハウルフ
「安いから保険ヘルパーで全部済ませたい」——気持ちは分かります。でも“できないこと”を知らずに頼むと、必ずどこかで詰まります。

現場で多い誤解|「保険のヘルパーに頼めばいい」が通用しない場面

ここが、リストだけの記事では書かれない大事な部分です。介護保険の生活援助(掃除・洗濯・調理など)には、国が定めた「やってはいけないこと」があります。知らずに頼もうとして、断られて戸惑うご家族を、私は何度も見てきました。

介護保険ヘルパーが「できない」家事の例

  • 本人以外(家族)の分の家事(家族の食事作り・洗濯など)
  • 大掃除・窓ガラス磨き・床のワックスがけ
  • 草むしり・庭の手入れ
  • ペットの世話
  • 来客の対応
  • 買い物の代行のうち、日常品を超えるもの

さらに見落とされがちなのが、同居家族がいる場合、生活援助は原則として使いにくくなること。「家族が家事をできるでしょう」という考え方が制度の前提にあるためです(実際の可否は市区町村やケアマネの判断によります)。

つまり、「同居して親を介護している家族」ほど、介護保険では家事を頼めないという矛盾が起きます。ここを埋めるのが、家事代行なのです。

リハウルフ
「同居で介護しているのに、ヘルパーに掃除を断られた」——これ、制度上はよくあることなんです。怒る前に、保険外という選択肢を知ってください。

家事代行を使うべき5つのタイミング

では、どんなときに家事代行を検討すべきか。次のサインが出たら、迷わず動くタイミングです。

  • 自分の家事と親の家事で、一日が終わってしまう
  • 掃除・洗濯が追いつかず、家が荒れてきた
  • 仕事と介護の両立で、休む時間がまったくない
  • 親と同居で、介護保険ヘルパーに家事を断られた
  • イライラが増え、親にきつく当たってしまう

特に⑤は要注意です。家事に追われて心の余裕を失うと、いちばん大切な「親と穏やかに過ごす時間」まで奪われます。家事代行は、その余裕を買い戻す手段でもあります。

料金相場|「高い」の正体と費用対効果

家事代行の料金は、1時間あたりおおむね2,500〜4,500円程度(別途、交通費や登録料がかかる場合あり)が目安です。複数の民間サービスの情報を照らし合わせた相場で、地域やプランで幅があります。高齢者向けや単発利用は、やや割高になる傾向があります。

「1時間3,000円は高い」と感じるかもしれません。でも、こう考えてみてください。

費用対効果の考え方

たとえば月2回・1回2時間の利用で、月およそ1〜1.5万円。それで毎月4時間の自由時間と、家事のストレスからの解放が手に入ります。その時間で休めれば、介護うつや共倒れを防げる。これは「贅沢」ではなく「家族が倒れないための保険」です。

リハウルフ
家族が倒れたら、介護そのものが止まります。あなたが休むためのお金は、いちばん優先度の高い出費なんです。

親が「他人を家に入れたがらない」問題の乗り越え方

家事代行でいちばんつまずくのが、実は料金でも選び方でもなく、「親が知らない人を家に入れるのを嫌がる」ことです。これは現場でも本当によくある壁です。

頭ごなしに「もう無理だから頼むよ」と言っても、親は身構えます。うまくいっていたご家族の入り方は、次のようなものでした。

「自分のため」として頼む

「お母さんのため」ではなく「私がしんどいから、手伝いに来てもらいたい」と、子どもの都合として伝える。親は「子のためなら」と受け入れやすい。

まずは単発・短時間で試す

いきなり定期契約にせず、1回だけ試す。「合わなければやめていい」と伝えると、心理的ハードルが下がる。

同じ人が来る体制にする

毎回スタッフが変わると親は落ち着かない。できるだけ同じ人が担当してくれるサービスを選ぶと、なじみやすい。

リハウルフ
最初は嫌がっていた親御さんも、「感じのいい人が来てくれる」と分かると、次第に楽しみにされることが多いんです。まずは一度、試してみてください。

依頼内容のコツ|何を任せ、何を任せないか

家事代行を効果的に使うコツは、「自分にしかできないこと」を手元に残し、それ以外を任せることです。掃除・洗濯・作り置きなど、誰がやっても同じ家事は、思い切って手放しましょう。

依頼時は、やってほしいことを紙に書いて渡すのがおすすめです。「キッチンとお風呂の掃除」「3日分の作り置き」など具体的に伝えると、仕上がりのズレが減ります。ただし、家事代行は入浴や排泄などの身体介護はできません。そこは介護保険ヘルパーの役割、と切り分けて考えてください。

失敗しない選び方|チェックリスト

サービス選びで後悔しないために、次の点を確認しましょう。安さだけで選ぶと、合わずにすぐ解約——という失敗が起きがちです。

  • 高齢者宅の対応に慣れているか(体調や物の場所への配慮)
  • 損害賠償保険に加入しているか(物を壊した時の補償)
  • 同じスタッフが継続して来られるか
  • 単発・お試しができるか
  • 料金体系が明確か(交通費・追加料金の有無)
  • ドタキャン時の代替対応があるか

なお、家事代行の枠を超えて「通院の付き添い」「見守り」「話し相手」まで頼みたいなら、家事代行より介護に特化した保険外サービスのほうが合っています。家事も、身体的なサポートも、幅広く柔軟に依頼できるのが強みです。「うちのケースは何を頼めるのか」を、まず資料や見積もりで把握しておくと選びやすくなります。

家事代行の副次効果|実は「見守り」にもなる

あまり語られませんが、家事代行には隠れた効果があります。定期的に第三者が家に入ることで、親の異変に気づけることです。

「最近、冷蔵庫の減りが遅い」「歩き方がふらついてきた」「同じ話を繰り返す」——離れて暮らす家族には見えない変化を、定期的に来るスタッフが察知することがあります。特に遠距離介護では、家事代行が「もう一つの見守りの目」になります。単なる家事の外注にとどまらない価値です。

「料理」の負担は配食との合わせ技で減らす

家事の中でも、毎日発生して重いのが「食事の用意」です。これは家事代行の作り置きだけで抱え込まず、配食サービス(宅配弁当)と組み合わせると、一気にラクになります。

週の何日かを配食に置き換えれば、その分の買い物・調理・片づけがまるごと消えます。特に噛む力・飲み込む力が落ちてきた親には、やわらかさを調整した高齢者向けの配食が向いています。栄養バランスも整い、家族の「今日の献立どうしよう」という毎日の負担も軽くなります。

家事代行を始める3ステップ

サービスを比較し、問い合わせる

料金・対応エリア・高齢者対応の実績を確認。気になる数社に、電話かメールで問い合わせる。

事前打ち合わせ・見積もり

スタッフが自宅を訪問し、要望を確認。何を頼めて、いくらかかるかを固める。

まずは単発で試す

いきなり定期契約にせず、1回試して相性を見る。良ければ定期利用に切り替える。

よくある質問

家事代行に、入浴やトイレの介助も頼めますか?
基本的にできません。入浴・排泄などの身体介護は、介護保険のヘルパー(訪問介護)や、介護に対応した保険外サービスの役割です。家事代行は「家事」に特化したサービスと考えてください。
介護保険のヘルパーと家事代行、両方使えますか?
使えます。むしろ組み合わせるのが賢い方法です。本人の身体介護や本人分の生活援助は介護保険ヘルパー、家族分の家事や大掃除・庭仕事などは家事代行、と役割を分けるとうまく回ります。
料金を安く抑える方法はありますか?
自治体によっては、高齢者向けに安価な「軽度生活援助事業」などを実施している場合があります。まずは地域包括支援センターに、使える保険外の支援がないか相談してみましょう。
親が「お金がもったいない」と嫌がります。
「お母さんのため」ではなく「私が倒れたら困るから」と伝えてみてください。介護は長期戦です。家族が休むための費用は、介護を続けるための必要経費だと考えてよいものです。

まとめ|「家族が休む」ことが、介護を続けるコツ

介護保険のヘルパーには「頼めない家事」が多くあります。特に同居して介護している家族ほど、その隙間は大きくなる。そこを埋めるのが家事代行です。

家事代行は「贅沢」ではありません。家族が休み、心の余裕を保ち、共倒れを防ぐための「家族保険」です。掃除や料理といった「誰がやっても同じ家事」を手放し、あなたにしかできない「親と穏やかに過ごす時間」を守ってください。

まずは1回、単発で試すところから。その2時間が、あなたの介護をずっと長続きさせます。

参考にした情報(公的機関)

※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。介護保険で頼める家事の範囲は、市区町村やケアマネジャーの判断によっても異なります。実際の利用にあたっては、担当のケアマネや地域包括支援センターにご確認ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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