介護で買ってよかったグッズ20選|借りて損しない選び方

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「介護が始まったけど、何を買えばいいのか分からない」——これは、私が現場で毎週のように聞く言葉です。

ドラッグストアやネット通販には介護グッズが山ほど並んでいますが、そのなかには「買っても数か月で使わなくなるもの」や、「そもそも介護保険で借りられる・9割戻ってくるのに、知らずに自費で買って損するもの」がたくさんあります。

私は理学療法士として16年、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、たくさんのご家庭の福祉用具選びに立ち会ってきました。この記事では、実際に「買ってよかった」と喜ばれたグッズ20点を、選び方の理由とセットで紹介します。あわせて、多くのご家族がつまずく「買う前に確認すべき制度」「買って失敗しやすいもの」も、現場の本音でお伝えします。

目次

結論:買う前に「これはレンタルできないか?」を必ず確認する

グッズ紹介の前に、いちばん大事なことを先に言います。介護グッズは「まず買う」ではなく、「まず借りられないか・戻ってこないかを確認してから買う」のが正解です。

理由はシンプルで、介護用品には「介護保険を使えば1〜3割負担で借りられるもの」「購入費の9割前後が戻ってくるもの」があるからです。これを知らずに家電量販店やネットで定価で買ってしまい、あとから「レンタルできたのに…」と後悔するご家族を、私は何度も見てきました。

この記事を最後まで読むと分かること

  • 本当に「買ってよかった」と言われる介護グッズ20点
  • 介護保険で「借りられる/9割戻る」もの(=自費で買うと損)
  • 買って失敗しやすいグッズと、その理由
  • 「買ってよかった」が数か月で使えなくなる、現場のリアル
まずは「借りる・戻る」を確認してから、必要なものだけ買う。これだけで数万円変わることがあります。

介護グッズ選びの3つの基本ルール

個別の商品を見る前に、失敗しない選び方の軸を押さえておきましょう。この3つを外すと、どんな人気商品でも「買って失敗」になります。

① 「今の身体」に合わせる。先回りして買いすぎない

「そのうち歩けなくなるかもしれないから」と、先回りして車いすや大きな用具を買うご家族がいます。しかし高齢者の身体状態は数か月単位で変わります。今の状態に合ったものを選び、変わったら見直す——これが鉄則です。だからこそ、後述するレンタルが有利になります。

② 「介護する人」もラクになるかで選ぶ

介護グッズは本人のためだけのものではありません。腰をかがめる回数が減る、目を離せる時間ができる——介護する家族の負担が減るものは、結果的に介護が長続きします。

③ 迷ったらケアマネ・福祉用具専門相談員に聞く

要介護認定を受けているなら、担当のケアマネジャーがいます。福祉用具のプロ(福祉用具専門相談員)に自宅を見てもらえば、体格や住環境に合ったものを提案してくれます。自己判断で買う前に、一本相談するのが最短です。

【シーン別】買ってよかった介護グッズ20選

ここからは、実際に現場で「買ってよかった」と言われることが多いグッズを、生活シーン別に紹介します。◎印のついたものは、介護保険でレンタルや購入補助の対象になり得るものです(詳しくは後半で解説します)。

シーン① 転倒を防ぐ

グッズここが良い
◎据置き手すり(たちあっぷ 等)工事不要で置くだけ。立ち座り・ベッドの端で活躍。レンタル対象。
介護シューズ(あゆみ 等)つまずきにくく着脱が楽。むくんだ足でも履ける幅広設計。
滑り止めマット(浴室・トイレ)濡れた床での転倒を防ぐ。数百円から始められる。
人感センサーライト夜間トイレの足元を自動で照らす。夜の転倒予防に効果的。

※据置き手すりは介護保険レンタルの対象のため、下では自費購入向きの3点だけ紹介します。

シーン② 起き上がり・移動

グッズここが良い
◎介護ベッド(特殊寝台)背上げ・高さ調整で起き上がりと立ち上がりが激変。原則レンタル。
◎車いす通院・外出の負担を軽減。身体に合わせて調整が必要なのでレンタル向き。
◎歩行車・歩行器(竹虎ハッピー 等)歩行を支え、外出意欲を保つ。歩行器は購入・レンタルの選択制。
ベッド・車いす・歩行器は「買ってよかった」ではなく「借りてよかった」の代表格。買う前に必ずレンタルを検討してください。

シーン③ 排泄ケア

グッズここが良い
◎ポータブルトイレ(アロン化成 安寿 等)ベッド脇で用が足せる。夜間の転倒リスクを大きく下げる。購入補助対象。
大人用紙パンツ(リフレ/ライフリー 等)動ける人には「パンツタイプ」。自尊心を保ちやすい。
尿取りパッドパンツと併用で交換が楽になり、コストも下がる。

※ポータブルトイレは購入補助(特定福祉用具販売)の対象なので、下では消耗品の2点を紹介します。まずは少量パックで肌に合うか試すのがおすすめです。

シーン④ 入浴・清潔ケア

グッズここが良い
◎シャワーチェア(入浴補助用具)座って洗える。背もたれ付きが安心。購入補助の対象。
清拭タオル(からだふきタオル 等)入浴できない日の全身ケアに。電子レンジで温められる。
口腔ケアスポンジ(スポンジブラシ)飲み込みが弱った方の口内を清潔に保つケアに。

※シャワーチェアは購入補助の対象なので、下では清潔ケアの消耗品2点を紹介します。

シーン⑤ 食事

グッズここが良い
とろみ剤(トロミアップ 等)むせやすい方の飲み込みを助ける。入れすぎ注意。
介護用食器(すくいやすい皿・軽いスプーン)自分で食べられる時間を延ばす。握力が弱くても持てる。

とろみ剤は「濃ければ安全」ではありません。濃すぎると逆に飲み込みにくく、危険なこともあります。適量は下の関連記事で詳しく解説しています。また、噛む・飲み込む力が落ちてきた場合は、やわらかく調理された宅配食を使うと、家族の調理負担も一気に減ります。

シーン⑥ 衣類

グッズここが良い
介護用パジャマ(前開き・楊柳 等)着替え介助が楽。汗をかいても快適。
マジックテープ式の靴・伸びる靴下かがまず着脱でき、本人も介助者も楽。

シーン⑦ 見守り・服薬

グッズここが良い
見守りカメラ(Tapo C200 等)別室・別居でも様子が分かる。会話もできる機種が便利。
開閉センサー(SwitchBot 等)玄関の開閉を通知。外出が心配な方の早期発見に。
お薬カレンダー飲み忘れ・二重服用を目で防ぐ。1日分ずつポケットに。

【重要】介護保険で「借りられる・戻ってくる」ものを自費で買うと損する

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。上の20選で「◎」を付けたものは、要介護認定を受けていれば、介護保険を使って安く借りられたり、購入費の大半が戻ってきたりする可能性があります。知らずに自費で買うのは、いちばんもったいない失敗です。

「借りる」もの=福祉用具貸与(13種目)

車いす、特殊寝台(介護ベッド)、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助杖、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトなど13種目は、原則レンタルの対象です。毎月1〜3割の自己負担で借りられます。

注意:軽度の方は対象外になることがある

車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフトなどは、要支援1・2、要介護1の方は原則として保険給付の対象外です(一定の条件を満たせば例外的に認められる場合があります)。まずはケアマネに確認してください。

「買う」もの=特定福祉用具販売(年10万円まで購入費補助)

肌に直接触れる、貸与になじまないものは「特定福祉用具販売」の対象で、年間10万円を上限に、購入費の7〜9割が戻ってきます(自己負担割合による)。主な対象は次のとおりです。

  • 腰掛便座(ポータブルトイレなど)
  • 入浴補助用具(シャワーチェア、浴槽内いす、浴槽手すりなど)
  • 簡易浴槽
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 排泄予測支援機器
  • 移動用リフトのつり具の部分

ここで多くの人が損をする

ポータブルトイレやシャワーチェアを、ネット通販や量販店で「自費で」買ってしまうケースが本当に多いです。指定を受けた事業者から、ケアマネを通して買えば大半が戻ってくるのに、それを知らずに全額自腹で払ってしまう。買う前に、必ずケアマネに一言相談してください。

2024年4月から「選択制」になったもの

2024年(令和6年)4月から、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖・多点杖は、レンタルと購入をケアマネ等と相談して選べる「選択制」になりました。長く使うなら購入、短期なら貸与、と使い分けができます。

「これ、保険で借りられませんか?」——この一言を、買う前にケアマネへ。数万円が浮くこともあります。

「買って失敗した」介護グッズもチェック

現場で「買ったけど使わなかった」とよく聞くものを、正直にお伝えします。悪い商品という意味ではなく、「本人の状態や生活に合っていなかった」ケースです。

失敗しやすい買い方の例

  • 先回りして買った大きな用具(車いす・介護ベッドを自費購入→状態が変わり合わなくなる)
  • 本人が嫌がる見守りカメラ(「監視されている」と感じて使わせてもらえない)
  • 多機能すぎる家電・便利グッズ(操作が複雑で本人も家族も使いこなせない)
  • サイズを測らず買った靴・衣類(むくみで入らない、脱げやすい)

見守りカメラは特に、「置き方・伝え方」で本人の受け入れが大きく変わります。嫌がられない工夫は、関連記事で詳しく解説しています。

「買ってよかった」が数か月で使えなくなる、現場の現実

これは、グッズ紹介記事があまり書かないことです。私が担当してきたご家族では、「良かれと思って買った物が、数か月で合わなくなる」ことが珍しくありません。

たとえば、歩行器で歩けていた方が、数か月後には車いすが必要になる。自分で食べられていた方が、介助が必要になる。高齢者、とくに要介護状態の方の身体は、良くも悪くも変化します。だからこそ——

だから「変わる前提」で考える

  • 身体状態が変わりやすいもの(ベッド・車いす・歩行器)はレンタル
  • 消耗品(おむつ・パッド・清拭タオル)は少量から試す
  • 肌に触れる購入品(ポータブルトイレ・シャワーチェア)は制度を使って
  • 高価な物ほど、買う前にケアマネ・福祉用具専門相談員に相談

「一度そろえて終わり」ではなく、「状態に合わせて入れ替えていく」もの——そう考えると、無駄な出費がぐっと減ります。

介護グッズの賢い買い方と購入場所

どこで買うのがいい?

購入先向いているもの
福祉用具事業者(ケアマネ経由)保険対象のポータブルトイレ・シャワーチェア等。相談しながら選べる。
介護用品の通販サイト品ぞろえが豊富。おむつ・パッド・清拭用品などの消耗品。
ドラッグストア・量販店紙パンツ・パッドを実物確認したいとき。
100円ショップ滑り止めマット・小物入れなど、まず試したいもの。

消耗品は「少量で試してから」まとめ買い

おむつ・パッド・とろみ剤などは、体質やサイズが合わないと使い切れず在庫の山になります。まず1袋・少量で試し、合ったものだけまとめ買いするのが結局いちばん安上がりです。

なお、掃除・調理・買い物といった「介護保険では頼みにくい細かな家事」まで手が回らないときは、保険外の生活サポートを部分的に使う手もあります。家族が倒れないための選択肢として、頭の片隅に置いておくと安心です。

よくある質問

要介護認定を受けていなくても、保険でレンタルできますか?
原則として、要支援・要介護の認定が必要です。まだ認定を受けていない場合は、市区町村の窓口か地域包括支援センターに相談するところから始めましょう。
ポータブルトイレを先に自費で買ってしまいました。戻ってきますか?
特定福祉用具販売は、指定事業者からの購入など一定の条件を満たす必要があります。自己判断で購入したものは対象外になることが多いため、買う前の相談が大切です。今後の分は、必ずケアマネに相談してください。
まず何から買えばいいですか?
生活で「今いちばん困っていること」から一つだけ。転倒が心配なら手すりや滑り止め、夜のトイレが不安ならポータブルトイレ、といった具合です。全部そろえようとしないことが、失敗しないコツです。

まとめ|「本当に必要なもの」だけを、賢く手に入れる

介護グッズは「たくさんそろえる」ものではなく、「今困っていることを、一つずつ解決する」ものです。

  • 買う前に「借りられないか・戻ってこないか」を確認する
  • ベッド・車いす・歩行器はレンタルを検討
  • ポータブルトイレ・シャワーチェアは購入補助を使う
  • 高価な物・迷う物は、ケアマネや福祉用具専門相談員に相談

この順番を守るだけで、無駄な出費を抑えながら、本当に「買ってよかった」と思えるものだけが手元に残ります。

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参考にした情報(公的機関)

※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。制度は改定されることがあるため、最新の情報は市区町村・地域包括支援センターやケアマネジャーにご確認ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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