認知症の親が入れる施設|タイプ別の選び方と“住み替え”の現実

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「認知症の親を、そろそろ施設に」と考え始めたとき、多くの家族がまず迷うのが「どのタイプの施設を選べばいいのか」です。グループホーム、特養、有料老人ホーム……名前は聞くけれど、違いが分からない。

先に、いちばん大事なことをお伝えします。「認知症だからグループホーム」と単純には決められません。親の症状の程度・進行の見通し・体の状態、そして住民票がどこにあるか——これらで、選べる施設が変わってきます。そして知っておくべきは、一度入っても“住み替え”が必要になることがあるという現実です。

私は理学療法士・介護支援専門員として、認知症のご本人・ご家族の施設選びに数多く関わってきました。この記事では、施設タイプ別の特徴と費用に加えて、他サイトが軽く流す「グループホームの住民票の壁」「入居後に起きること」まで、正直にお伝えします。

リハウルフ
こんにちは、介護支援専門員のリハウルフです。施設選びは「今の状態」だけでなく「これからどう変わるか」まで見て選ぶのがコツです。
目次

認知症の親が入れる施設|5つのタイプ

まず、選択肢を整理しましょう。費用は地域・部屋タイプ・要介護度で大きく変わる目安です。

施設タイプ特徴月額の目安
認知症グループホーム認知症専門・少人数(5〜9人)で家庭的。認知症ケアの本命約12〜18万円
特別養護老人ホーム(特養)公的施設で安価。原則要介護3以上。待機が長い約9〜15万円
介護付き有料老人ホーム手厚い介護・看取り対応も。費用は高め+一時金約15〜30万円
サービス付き高齢者向け住宅比較的自立度の高い人向け。認知症対応は施設差が大きい約10〜20万円
介護老人保健施設(老健)在宅復帰を目指すリハビリ施設。短〜中期向け約8〜17万円

各タイプの費用の仕組み(特に有料の入居一時金)は特養・老健・有料の違い|費用と“入居後に起きること”で選ぶで詳しく整理しています。

認知症ケアの本命|グループホームとは

認知症の親に、まず候補になるのが認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)です。5〜9人の少人数ユニットで、なじみのスタッフと家庭的に暮らす。認知症の方が落ち着いて過ごしやすい環境が最大の強みです。

最大の注意点|「住民票の壁」がある

グループホームは「地域密着型」サービス。つまり、原則として、その施設がある市区町村に住民票がある人しか入れません。

「遠方に住む親を、自分の家の近くのグループホームに呼び寄せたい」——これは原則できないのです(住所を移せば可能な場合あり)。遠距離介護の方は、特にここを最初に確認してください。

入居条件は要支援2以上+認知症の診断。ただし、グループホームには弱点もあります。次章の「住み替え」の話につながります。

最重要|「入居後に住み替え」という現実

ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。施設は「一度入れば終の棲家」とは限りません。認知症の進行や体の状態の変化で、住み替えが必要になることがあります。

住み替えが必要になりやすいケース

  • グループホームで、寝たきり・医療対応が増えた|グループホームは基本、ある程度動ける人向け。手厚い医療や看取りに対応できず、特養や看取り対応の有料へ移ることがある。
  • 周辺症状(暴力・大声・徘徊)が強くなった|集団生活が難しくなり、退居を求められる場合がある。
  • 特養の順番が来た|安価な特養を待ちながら、先に他施設に入り、空きが出たら移る流れ。

だからこそ、施設を選ぶときは「今の状態に合うか」だけでなく「重度化したとき、どこまで対応してくれるか」を必ず確認してください。特に「看取りまで対応できますか」「退居をお願いするのはどんな時ですか」は、見学時に必ず聞くべき質問です。退去条件の落とし穴は老人ホームの選び方|見学より先に見る「退去条件」の落とし穴で詳しく解説しています。

リハウルフ
「入れて安心」ではなく「この先も居られるか」。ここを見ずに費用や雰囲気だけで選ぶと、数年後にまた施設探しに追われます。

症状の程度別|向いている施設

「認知症」とひとくくりにせず、程度と体の状態で考えると、選ぶべき施設が見えてきます。

状態向いている施設
軽〜中度・身体は動けるグループホーム(家庭的な環境で落ち着きやすい)
中〜重度・介護量が多い/要介護3以上特養(安価で長期。ただし待機あり)
医療対応・手厚いケア・看取りが必要介護付き有料(費用は高めだが対応力が高い)
退院後、在宅復帰を目指す一時期老健(リハビリ中心・短〜中期)

現場でよくある流れは、「軽度はグループホーム → 重度化したら特養や看取り対応の有料へ」という移行です。最初からこの見通しを持っておくと、慌てずに済みます。

逆に、まだ在宅で粘れる段階なら、無理に施設を急ぐ必要はありません。デイサービスやショートステイを組み合わせれば、自宅で過ごせる期間を延ばせることも多い。「認知症=すぐ施設」ではないのです。ただし、家族が疲弊しきってから探し始めると、待機や予約に間に合わず選択肢が狭まります。「まだ大丈夫」なうちから候補を調べ、見学だけでも進めておく——この準備が、いざという時の余裕を生みます。

認知症施設を選ぶ7つのチェックポイント

  • 認知症ケアの経験・研修を積んだスタッフがいるか
  • スタッフの人数・入れ替わり(人手不足・高い離職率は要注意)
  • 身体拘束をしない方針か(薬で大人しくさせていないか)
  • 重度化・看取りにどこまで対応できるか
  • 退居を求められる条件は何か
  • 本人が穏やかに過ごせそうな雰囲気か(入居者の表情を見る)
  • 家族が通いやすい距離

パンフレットではなく、必ず見学して、入居者やスタッフの表情を見てください。認知症ケアの質は「スタッフの人数と専門性」でほぼ決まります。ここが施設選びの9割と言っても過言ではありません。

効率的に施設を探すには

施設探しは、条件に合う候補を自力で集めるだけでも大変です。特に認知症対応は施設ごとの差が大きく、パンフだけでは分かりません。

そこで、エリア・予算・「認知症対応可」などの条件で候補をまとめて絞り込める無料の施設検索サービスを使うと効率的です。気になる施設の資料請求や見学予約もまとめてでき、相場感もつかめます。まず候補を洗い出す段階で、大きく手間が省けます。

入居の契約・費用で見落とされる「お金の問題」

もう一つ、認知症の施設入居で必ずぶつかるのが「お金と契約」の問題です。施設の入居契約も費用の支払いも、原則本人の意思・本人の口座で行います。ところが認知症が進むと、親名義の口座が凍結され、家族でも引き出せなくなることがあります。

こうなると、施設費用の支払いにも、契約にも支障が出ます。備えとして成年後見制度や家族信託がありますが、家族信託などは本人の判断能力があるうちにしか手続きできないものが多い。「施設を考える」タイミングは、同時に「お金の管理をどうするか」を考えるタイミングでもあります。専門的な領域なので、無料相談から始められるサービスで一度整理しておくと安心です。

施設に入れる家族の心構え

「施設に入れるのは、親を見捨てることではないか」——そう自分を責める方は少なくありません。でも、専門的なケアを受けられる環境に移すことは、親にとってより良い選択になり得ます。家族が疲れ果てて共倒れになるより、ずっといい。

本人が嫌がる場合の進め方は、親が施設を嫌がる|説得しない進め方と入居“後”に本当に起きることを参考にしてください。無理に説得するより、順番とタイミングが大事です。

よくある質問

遠くに住む親を、自分の家の近くのグループホームに入れられますか?
原則できません。グループホームは地域密着型で、施設のある市区町村に住民票がある人が対象です。呼び寄せる場合は住所の移転が必要になるため、事前に自治体やケアマネに確認してください。
要介護1でも特養に入れますか?
特養は原則要介護3以上です。ただし認知症が重いなど、やむを得ない事情があれば特例入所が認められることがあります。ケアマネに相談を。
一度入ったら、ずっと居られますか?
とは限りません。重度化・医療対応・強い周辺症状などで、住み替えや退居を求められる場合があります。入居前に「看取りまで対応可能か」「退居条件は何か」を必ず確認してください。
認知症の親でも契約できますか?
判断能力の状況によります。難しい場合は成年後見制度の利用を検討します。判断能力があるうちに家族信託などで備えておくと、選択肢が広がります。

まとめ|「今」と「これから」で選ぶ

この記事の要点

  • 「認知症だからグループホーム」ではなく、症状の程度・体の状態・住民票で選ぶ。
  • グループホームは地域密着型。原則、その市区町村の住民しか入れない。
  • 一度入っても、重度化や周辺症状で住み替えが必要になることがある。
  • 見学で「看取り対応」「退居条件」「スタッフの数と専門性」を必ず確認。
  • 施設を考えるタイミングは、お金の管理(口座凍結対策)を考えるタイミングでもある。

認知症の親の施設選びは、情報が多く、決断も重く、迷って当然です。でも、押さえるべき軸はシンプル。「今の状態に合うか」と「この先も居られるか」の2つです。この視点で選べば、数年後にまた探し直す事態を減らせます。まずはケアマネや地域包括支援センターに相談し、候補を挙げるところから始めてください。

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参考にした情報(公的機関)

※本記事の費用・制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづく目安です。費用は施設・地域・部屋タイプにより異なります。入居条件や地域密着型の取り扱いは、お住まいの市区町村・ケアマネジャーにご確認ください。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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