「認知症の親、もう自宅で見るのは限界…」「徘徊が始まって心配」「夜中に何度も起きてしまう」──認知症介護は、家族にとって本当に過酷です。
私はケアマネとして、「もう限界」と相談に来られるご家族を何百組も見てきました。認知症の方が入居できる施設には複数の選択肢があり、本人の状態と家族の状況で「合う施設」が変わります 。
「特養しか知らない」「有料老人ホームは高そう」と思い込んでいると、最適な施設を見逃します。この記事では、現役ケアマネとして、認知症の方が入居できる施設5タイプを完全比較します。
認知症の方が入れる5つの施設タイプ
すべての施設が認知症対応というわけではありません。以下の5タイプが、認知症の方の主な選択肢。
| タイプ | 認知症対応度 | 月額費用 |
|---|---|---|
| 認知症対応型グループホーム | ◎◎(特化) | 12〜18万円 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | ◎ | 8〜13万円 |
| 介護付き有料老人ホーム(認知症対応) | ◎ | 18〜35万円 |
| サービス付き高齢者向け住宅(認知症対応) | △〜○ | 15〜25万円 |
| 介護老人保健施設(老健) | ○ | 9〜15万円 |
① 認知症対応型グループホーム|認知症ケアの本命
認知症の方のための、最も特化した施設。
特徴
- 認知症の方のためだけの施設
- 5〜9人の少人数共同生活
- 1ユニットを「家」のように暮らす
- 家庭的な環境で日常生活
- 本人が料理・掃除など役割を持つ
月額費用
- 月額:12〜18万円
- 入居一時金:0〜数十万円
入居条件
- 要支援2〜要介護5
- 認知症の診断あり
- 共同生活が可能(暴力行為等がない)
- 地域住民であること(住民票が同じ市区町村)
メリット
- 認知症ケアの専門スタッフ
- 少人数で目が届く
- 認知症の進行を遅らせる効果
- 家庭的で本人が落ち着きやすい
デメリット
- 医療依存度が高くなると退去
- 看取り対応の施設は少数
- 「地域密着型」のため、住民票がある市区町村でしか入居不可
- 入居待ちのある施設も
向いている人
- 認知症が中等度 の方
- 家庭的な環境で過ごしたい
- 共同生活が可能
- 他の人と関わるのが好き
② 特別養護老人ホーム(特養)|安価で長期入居
公的施設の代表格。認知症対応もしている施設が多い。
特徴
- 公的施設(社会福祉法人・自治体運営)
- 月額が業界最安クラス
- 入居一時金なし
- 終身利用可能
- 看取り対応OK
月額費用
- 月額:8〜13万円
入居条件
- 要介護3以上 が原則
- 認知症の有無は問わない(むしろ多い)
メリット
- 経済性◎
- 看取り対応OK
- 公的施設の安心感
- 認知症ケアの実績豊富
デメリット
- 入居待ちが長い (都市部で1〜3年)
- 多床室の場合プライバシーが少
- 大規模施設だと個別対応が薄くなる
向いている人
- 要介護3以上の認知症
- 長期入居希望
- 経済的に厳しい
- 待っても良い
③ 介護付き有料老人ホーム(認知症対応)
民間運営の手厚い施設。「認知症対応強化型」もある。
特徴
- 民間運営
- 認知症ケア専門スタッフ配置
- 認知症ケア専門ユニットを持つ施設も
- 看取り対応の施設多い
月額費用
- 月額:18〜35万円
- 入居一時金:0〜数千万円
メリット
- すぐ入居できる
- 手厚いケア
- 設備が充実
- 24時間看護師配置の施設も
デメリット
- 費用が高い
- 認知症対応の質に差がある
- 母体の経営リスク
向いている人
- 経済的に余裕
- すぐに入居したい
- 手厚いケア希望
- 医療的ケアも必要
④ サービス付き高齢者向け住宅(認知症対応)
軽度認知症ならOKな施設も。
特徴
- 賃貸住宅+安否確認
- 介護サービスは外部契約
- 認知症対応の有無は施設による
月額費用
- 月額:15〜25万円
メリット
- 自由度が高い
- 賃貸契約で途中解約しやすい
デメリット
- 認知症が進むと対応できない施設多い
- 専門ケアが手薄
- 看取り未対応の施設多い
向いている人
- 軽度の認知症
- まだ自立度が高い
- 自宅から離れたいが施設は嫌
⑤ 介護老人保健施設(老健)|短期〜中期向け
リハビリ中心の施設だが、認知症の方も多く入居。
特徴
- 医療法人運営
- 医師常駐・看護師24時間
- リハビリが手厚い
- 原則3〜6ヶ月の利用
月額費用
- 月額:9〜15万円
メリット
- 医療体制充実
- リハビリで認知症進行を遅らせる
- 入居待ちが短い
デメリット
- 長期入居できない
- 退所後の住まいを再検討する必要
向いている人
- 退院後の中継施設として
- リハビリ希望
- 短期利用OK
認知症の重症度別|おすすめの施設タイプ
認知症の段階によって、最適な施設が変わります。
軽度(要支援〜要介護1)
- グループホーム
- サ高住(認知症対応)
- 自宅介護+デイサービスでも対応可
中等度(要介護2〜3)
- グループホーム(最適)
- 介護付き有料老人ホーム
- 特養(要介護3以上)
重度(要介護4〜5)
- 特養
- 介護付き有料老人ホーム
- 老健(一時的な利用)
終末期
- 看取り対応のある施設 (特養・有料老人ホームの一部)
認知症対応施設を選ぶ7つのチェックポイント
「認知症対応」と謳っていても、質の差が大きい。以下を必ず確認。
チェック① 認知症ケア専門スタッフの配置
認知症ケア専門士、認知症介護指導者などの有資格者がいるか。
チェック② 認知症ケアの方針
施設の認知症ケア方針を聞く。「ユマニチュード」「パーソンセンタードケア」などの理念があるか。
チェック③ 拘束・拘禁の有無
身体拘束(ベッドへの拘束等)を 「原則禁止」 としているか。
チェック④ 徘徊対応
徘徊する方への見守り体制、外出時の対応、GPS活用などを確認。
チェック⑤ 認知症進行時の対応
認知症が進行した場合に退去になるか、最期まで対応するか。
チェック⑥ 家族との連携
定期的な面談、写真共有、状態報告の頻度。
チェック⑦ 看取り対応
最期までこの施設で過ごせるか。
認知症の親を施設に入れる時の家族の心構え
「施設に入れる」ことに罪悪感を感じる家族は多いです。
「諦め」ではなく「最善の選択」
家族が共倒れする前に施設入居を選ぶことは、 本人と家族双方の幸せを守る決断 。
入居後の関わり方
- 月1〜2回は面会に
- 写真・動画で日常を共有
- 行事に参加
- 施設スタッフとの良好な関係構築
入居後も家族の存在は大きいです。
兄弟との合意形成
施設選び・費用負担・面会頻度について、必ず兄弟で話し合いを。「一人で決めて、後でモヤモヤ」を避ける 。
効率的に施設を探す方法
5タイプを横断的に比較するなら、施設検索サイトが便利。
おすすめ
- みんなの介護 :50,000件超、「認知症対応」で絞り込み可能
- 一括資料請求&電話連絡不要
「認知症の親が入れる施設」は、地域・施設によって対応の質が大きく違います。3〜5施設を資料請求&見学 が鉄則。
まとめ|認知症の親には「専門ケア」を
認知症介護は、家族の力だけでは限界があります。認知症ケアのプロに任せる ことが、本人にとっても家族にとってもベストな選択になり得ます。
🍀 認知症の親の施設選び5原則 ① 軽度〜中等度→グループホームが第一候補 ② 重度→特養 or 有料老人ホーム ③ 「認知症ケア専門士」がいる施設を選ぶ ④ 拘束ゼロ・看取り対応・家族連携を確認 ⑤ 必ず複数施設を資料請求&見学
施設探しは早めの着手が肝心。 入居までに1〜3年 かかる施設もあるので、「まだ大丈夫」と思っているうちから情報収集を始めましょう。
