サ高住とは?費用・メリット・デメリットと「退去」の現実

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「サ高住って、老人ホームと何が違うの?」
「安いって聞いたけど、本当に大丈夫?」

——この質問を、私はご家族から何十回と受けてきました

リハウルフ
こんにちは、理学療法士のリハウルフです。介護の現場で16年、1000組以上のご家族と向き合ってきました。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、いま全国に8,323棟・289,013戸あります(2024年12月末時点・国土交通省)。有料老人ホームより費用を抑えやすく、入居のハードルも低い。だから「まずサ高住かな」と考えるご家族は、とても多いんです。

ただ、私は現場で「こんなはずじゃなかった」と半年で退去したご家族も、何組も見てきました。その原因は、ほぼ全部同じ1点に集約されます。

この記事では、制度の正確な話(国交省の一次情報にあたっています)と、パンフレットには絶対に書いていない「入居後に何が起きるか」を、現場の視点でお伝えします。

目次

サ高住とは?30秒でわかる正体

サ高住の正体を一言でいうと

バリアフリーの賃貸マンション + 見守り + 生活相談

それだけ。介護サービスは、含まれていません。

ここが最大の誤解ポイントです。サ高住は「施設」ではなく「住宅」です。法律上も、介護保険法ではなく高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)に基づく制度で、所管も国土交通省と厚生労働省の共管。2011年10月にスタートしました。

リハウルフ
「老人ホームの安い版」だと思って入居すると、まず間違いなくつまずきます。

サ高住の登録基準(国が定めたルール)

床面積原則25㎡以上
※共用部分に十分な広さの居間・食堂・台所などがある場合は18㎡以上でも可
設備台所・水洗トイレ・収納・洗面・浴室の設置(共用部分に十分な設備があれば、居室での設置を省略可)
バリアフリー廊下幅の確保/段差の解消/手すりの設置
必須サービス①状況把握(安否確認)サービス
②生活相談サービス
※ケアの専門家が少なくとも日中は常駐
契約内容・長期入院を理由に、事業者から一方的に解約できない
敷金・家賃・サービス対価以外の金銭を徴収してはならない(=礼金・権利金・更新料は禁止)
・前払金には保全措置が必要
入居できる人60歳以上の方、または要支援・要介護認定を受けた方 など

ここ、知っておくと得します

礼金・権利金・更新料は、法律で禁止されています。もし請求されたら、それは登録基準に反しています。契約前に必ず内訳を確認してください。

【最重要】サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類がある

ほとんどの記事が、ここをはっきり書いていません。でもこれを理解しないままサ高住を選ぶと、9割方つまずきます。

一般型サ高住
(大多数はこちら)
介護型サ高住
(特定施設の指定あり)
介護サービス付いていない
外部の訪問介護・デイサービスと自分で個別契約
住宅に付いている
スタッフが直接介護を提供
介護費用使った分だけ課金
(区分支給限度額あり)
要介護度ごとの定額
重度化対応が難しくなる比較的対応しやすい
圧倒的多数少数
リハウルフ
見学に行ったら、まずこれを聞いてください。「ここは特定施設の指定を受けていますか?」——この一言で、すべてが変わります。

「介護型」は、特定施設入居者生活介護という介護保険の指定を受けたサ高住です。こちらは介護付き有料老人ホームとほぼ同じ仕組みになります。

一方、世の中のサ高住の大多数は「一般型」。つまり介護は付いていません。デイサービスに行くのも、ヘルパーに来てもらうのも、在宅にいるときと同じように自分でケアマネを立てて、自分で契約する必要があります。

サ高住の費用|内訳と相場

初期費用

敷金として家賃の2〜3か月分が一般的です。家賃8万円なら、16〜24万円ほど。有料老人ホームのような数百万〜数千万円の入居一時金は、原則ありません。ここは、サ高住の大きな強みです。

月額費用の内訳

家賃立地・広さで大きく変動
共益費(管理費)共用部の光熱費・維持費など
サービス費安否確認・生活相談の対価
食費提供がある場合。喫食した分だけの住宅も多い
水道光熱費居室分は原則自己負担
介護サービス費ここが「別」です。使った分だけ、1〜3割負担で加算
絶対に見落とさないでください

パンフレットに「月額13万円〜」と書いてあっても、それは家賃+共益費+サービス費だけの金額であることが多いです。

ここに食費・水道光熱費・介護サービス費・医療費・おむつ代が乗ります。実際に支払う総額は、表示額の1.3〜1.8倍になることも珍しくありません。

私が見てきた中では、「思っていたより月5万円高かった」というご家族が、いちばん多いです。

相場としては、月額の総額でおおむね12〜25万円程度(地方は低め、都市部は高め)というのが、各社の情報を照らし合わせた目安です。ただし介護度が上がると、介護サービス費だけで月2〜4万円は上乗せされます。

サ高住のメリット5つ

  1. 初期費用が圧倒的に安い 数百万円の入居一時金が要りません。敷金だけで入れます。手元資金を残せるのは、その後の医療費を考えると大きな安心材料です。
  2. 生活の自由度が高い 外出・外泊・友人の訪問、原則自由。門限がない住宅がほとんどです。「施設に入れられた」感がなく、本人の抵抗が少ないのは、私の経験上とても大きい。
  3. 見守りがあるので、家族が眠れる 安否確認は必須サービス。離れて暮らすご家族の「今日、生きているだろうか」という不安が消えます。これは介護する家族の寿命を延ばします。
  4. バリアフリーが最初から整っている 段差なし・手すりあり・廊下も広い。自宅の介護リフォームに数十万〜百万円かけるより、結果的に安く済むケースもあります。
  5. 介護サービスを自分で選べる 一般型なら、事業者を自由に選べます。「合わないヘルパーを替えられる」のは、実は大きなメリットです。

サ高住のデメリット5つ|現場で本当に起きていること

リハウルフ
ここが、この記事でいちばん読んでほしいところです。

① 重度化すると、住み続けられない

これが最大にして最重要のデメリットです。

一般型サ高住は「住宅」です。夜間に職員が常駐していない住宅も、決して珍しくありません(常駐が義務なのは「日中」だけ)。

すると、こうなります。

こういう状態になると、退去を求められることがあります

  • 夜間に何度もトイレ介助が必要になった
  • 認知症が進み、深夜に外へ出て行こうとする
  • たん吸引・経管栄養など、医療的なケアが必要になった
  • 寝たきりになり、24時間の見守りが必要になった

私が担当したご家族でも、入居して1年半、要介護2から要介護4になった時点で「うちでは対応できません」と言われたケースがありました。そこから慌てて特養を探しても、地域によっては数か月〜年単位の待機です。

② 介護費用が「青天井」になりうる

一般型は使った分だけ課金される仕組み。介護度が上がるほど、必要なサービスが増え、費用も上がります。しかも介護保険には「区分支給限度基準額」という上限があり、これを超えた分は全額自己負担(10割)です。

介護型(定額制)と違い、一般型は費用の見通しが立ちにくい。ここは覚悟しておく必要があります。

③ 「囲い込み」のリスクがある

一般型サ高住には、同じ法人が運営する訪問介護やデイサービスが併設されていることがよくあります。それ自体は便利なのですが、「うちのサービスを使ってください」と実質的に選択肢を狭められるケースが、一部で問題になっています。

結果として、本当は必要のないサービスまで限度額いっぱいに組み込まれる——という話は、私も現場で耳にします。

リハウルフ
「ケアマネは外部の人を選べますか?」——見学時に必ず聞いてください。ここで渋る住宅は、要注意です。

④ サービスの質に、住宅ごとの差が大きい

「サ高住」という同じ看板でも、中身は千差万別です。手厚い住宅もあれば、安否確認が「1日1回、インターホン越しに声をかけるだけ」という住宅もあります。どちらも基準は満たしています。

⑤ 一般の賃貸より、割高

バリアフリー設備と見守りサービスの分、同じ地域の普通の賃貸住宅より家賃は高めです。自立度が高く、見守りも不要な方には、コストに見合わない可能性があります。

他の施設との違い|比較表

サ高住
(一般型)
住宅型
有料老人ホーム
介護付き
有料老人ホーム
特養
法的性格住宅(賃貸借)施設(利用権)施設(利用権)介護保険施設
初期費用敷金のみ0〜数百万円0〜数千万円不要
介護外部契約外部契約施設が提供施設が提供
入居条件60歳以上 等
自立〜軽度中心
自立〜要介護自立〜要介護原則 要介護3以上
重度化△ 退去も△ 施設による◎ 看取りまで
待機少ない少ない少ない長い
自由度◎ 高い

サ高住が向いている人・向いていない人

こんな方には、サ高住はとても良い選択です
  • 自立〜要介護2くらいまでで、身の回りのことはおおむねできる
  • 一人暮らしが不安。でも「施設」には入りたくない
  • 自由に外出したい、自分のペースで暮らしたい
  • 手元にまとまった資金を残しておきたい
  • 離れて暮らす家族が、安否確認だけでも欲しい
こんな方は、別の選択肢を検討してください
  • すでに要介護3以上で、今後さらに重度化が見込まれる
  • 認知症の周辺症状(夜間の徘徊・興奮)が強く出ている
  • たん吸引・インスリン注射など、医療的なケアが日常的に必要
  • 看取りまで、同じ場所で過ごしたい
  • 費用を完全に固定したい(=定額でないと家計が読めない)

この場合は、介護付き有料老人ホーム特養、あるいは介護型サ高住を検討したほうが、結果的にご本人もご家族も楽になります。

見学で必ず聞くべき7つの質問

パンフレットを何時間眺めても、答えは出ません。見学に行って、この7つを聞いてください。私が現場でご家族にお伝えしてきた、そのままのリストです。

  1. 「特定施設の指定を受けていますか?」 一般型か介護型かが、これで一発でわかります。最初に聞くべき質問です。
  2. 「夜間は、職員が何人常駐していますか?」 「日中のみ」なのか「夜勤1名」なのか。夜間の緊急時に誰が来るのかを、具体的に確認します。
  3. 「どうなったら、退去をお願いされますか?」 いちばん聞きにくくて、いちばん重要な質問です。言葉を濁す住宅は避けてください。契約書の退去要件の条項を、その場で見せてもらいましょう。
  4. 「ケアマネや介護事業所は、外部を選べますか?」 「原則、うちの事業所で」と言われたら、囲い込みの可能性を疑ってください。
  5. 「月額の表示金額に、何が含まれていませんか?」 含まれるものではなく、「含まれないもの」を聞くのがコツです。食費・光熱費・おむつ代・医療費。全部書き出してもらいましょう。
  6. 「看取りに対応していますか?」 最期まで過ごせるのか。提携医療機関はどこか。訪問看護は入れるのか。
  7. 「入居者さんの平均要介護度は?」 ここが高い住宅は、重度化にも対応できる体制がある可能性が高いです。数字は正直です。
リハウルフ
3の「退去要件」だけは、絶対に飛ばさないでください。ここを確認しなかったご家族が、後で泣くのを何度も見てきました。

サ高住の探し方

探し方は、大きく3つです。

① 地域包括支援センターに相談する

無料で、中立的。地域の実情をいちばん知っています。まずここです。

② 「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」で調べる

国が運営する公式データベース。全国のサ高住が登録情報つきで検索できます。広告ではない一次情報なので、必ず一度は見てください。

③ 施設検索サイトを使う

条件を入れると候補をまとめて出してくれます。空室状況や費用の比較には便利です。ただし掲載は広告なので、①②と必ず併用してください。

「まだ在宅で頑張れるかも」と思っている方へ

サ高住を調べているということは、在宅介護に限界を感じ始めているのかもしれません。

ただ、住み替えの前にできることも、まだあります。介護保険では足りない部分——夜間の付き添い、通院の同行、長時間の見守り——は、保険外の自費サービスで埋められることがあります。

「施設か、在宅か」の二択で考えると苦しくなります。その間にある選択肢も、一度検討してみてください。

よくある質問

要介護3でもサ高住に入れますか?
制度上は入れます。ただし一般型の場合、住宅側の体制次第です。夜間対応がない住宅では、生活が成り立たない可能性があります。要介護3以上なら、まず介護型サ高住・介護付き有料老人ホーム・特養を検討したほうが現実的です。
認知症でも入居できますか?
軽度であれば、受け入れている住宅が多いです。ただし夜間の徘徊や興奮が出ている場合は難しいのが実情です。見学時に「認知症の方は何人入居されていますか」と具体的に聞いてみてください。
サ高住で看取りまでできますか?
住宅によります。訪問看護・訪問診療と連携して看取りまで対応する住宅もあれば、まったく対応しない住宅もあります。「うちでは看取りまでできますか」と、必ず言葉にして確認してください。
途中で退去することになったら、敷金は返ってきますか?
賃貸借契約なので、原状回復費用を差し引いた分が返還されるのが原則です。前払家賃を支払っている場合は、その保全措置と返還ルールを契約書で確認してください。ここは登録基準でも定められている部分です。
サ高住と住宅型有料老人ホームは、何が違うのですか?
実質的なサービス内容はかなり近いです。大きな違いは契約形態で、サ高住は賃貸借契約(=借地借家法で借主が保護される)、住宅型有料老人ホームは利用権方式が一般的。サ高住のほうが、居住の権利は法的に強いといえます。

まとめ|サ高住選びで、後悔しないために

この記事の要点
  • サ高住は「施設」ではなく「住宅」。介護は付いていない
  • まず「一般型か、介護型(特定施設)か」を確認する
  • 月額表示は総額ではない。「含まれないもの」を全部書き出してもらう
  • 最大のリスクは重度化による退去。契約前に退去要件を必ず読む
  • 礼金・権利金・更新料は法律で禁止されている
  • 向いているのは自立〜要介護2くらいまでの方

サ高住は、正しく選べば本当に良い住まいです。自由があって、見守りがあって、初期費用も抑えられる。「施設には入りたくない」という親御さんの気持ちを、尊重できる選択肢でもあります。

ただ、「安いから」「入りやすいから」だけで選ぶと、必ずどこかで無理が出ます。数年後にもう一度引っ越すことになれば、金銭的にも、そして何よりご本人の心身にとって、大きな負担になります。

だからこそ、見学のときに「どうなったら、退去をお願いされますか?」と聞いてください。この一言が、数年後のあなたとご家族を守ります。

リハウルフ
迷ったら、まず地域包括支援センターへ。無料で、中立で、いちばん確かです。ひとりで抱え込まないでください。

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参考にした情報(公的機関)

※本記事の制度に関する内容は、2026年7月時点の情報にもとづいています。制度は改正される場合がありますので、最新情報は各公的機関のサイトでご確認ください。

※費用相場は複数の民間情報を照合した目安であり、地域・住宅により大きく異なります。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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