介護用語をやさしく解説|家族がまず覚える言葉と一覧

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ケアマネさんの説明が「専門用語ばかりで分からない」。市役所の書類に知らない言葉が並んでいる。病院で言われた単語の意味が、いまだに曖昧なまま——介護が始まったばかりの家族は、まず「言葉の壁」にぶつかります。

でも大丈夫です。介護で家族が本当に知っておくべき用語は、そんなに多くありません。この記事は、介護職ではない家族の目線で、よく出てくる用語をやさしく整理した辞典です。

私は理学療法士・介護支援専門員として、たくさんのご家族に制度やサービスを説明してきました。「この言葉が分からないと、こう困る」という現場感覚もふまえて解説します。ブックマークして、分からない言葉が出てきたら戻ってくる——そんな使い方をしてください。

目次

まず、この10語だけ覚えれば動ける

全部を覚える必要はありません。介護の入口で「これだけは」という10語を先に挙げます。ここが分かれば、最初の手続きとサービス利用はスムーズに進みます。

最初に覚える10語

  • 要介護認定…介護保険を使うための入口の審査
  • 要支援・要介護…介護がどれくらい必要かの区分
  • 地域包括支援センター…困ったらまず相談する無料の窓口
  • ケアマネジャー…介護の計画を立てる専門職。家族の相談役
  • ケアプラン…どのサービスをどう使うかの計画書
  • デイサービス…日帰りで通う介護サービス
  • ショートステイ…短期間だけ施設に泊まる
  • 区分支給限度額…保険で使えるサービスの1か月の上限
  • 負担割合…自分が払う割合(1〜3割)
  • 高額介護サービス費…払いすぎた分が戻る仕組み
全部を暗記しようとしないで。まずこの10語。あとは必要になったとき、その項目だけ見に来れば十分です。

① 介護のレベルに関する用語

要支援(1〜2):日常生活はおおむね自立しているが、一部に支援が必要な状態。介護予防のサービスが中心。

要介護(1〜5):介護が必要な状態。数字が大きいほど重い。5がもっとも重度。

非該当(自立):審査の結果、介護保険のサービス対象にならない状態。

区分変更:心身の状態が変わったとき、要介護度を見直してもらう申請。悪化したら遠慮せず出す。

要介護認定:介護保険サービスを使うために、どれくらい介護が必要かを市区町村が判定する手続き。すべての入口。

② 申請・手続きに関する用語

主治医意見書:要介護認定のために、かかりつけ医が本人の状態を書く書類。市区町村が医師に依頼する。

認定調査:調査員が自宅などを訪れ、本人の心身の状態を聞き取り・確認すること。認定の材料になる。

介護保険被保険者証:65歳になると交付される、介護保険の「保険証」。認定結果や要介護度が記載される。

負担割合証:自己負担が何割か(1〜3割)を示す証明書。毎年更新される。

認定調査のときは、”できること”より”困っていること”を正直に伝えて。よく見せようとすると、必要な支援が受けられなくなります。

③ 計画・プランに関する用語

ケアマネジャー(介護支援専門員):ケアプランを作り、サービス事業者との調整をする専門職。家族の最も身近な相談相手。

ケアプラン(介護サービス計画):どのサービスを・いつ・どれだけ使うかをまとめた計画書。ケアマネが本人・家族の希望を聞いて作る。

アセスメント:本人の状態や生活課題を評価すること。ケアプランの土台になる。

サービス担当者会議:ケアマネ・サービス事業者・家族が集まり、ケアプランを話し合う場。家族の希望を伝えるチャンス。

モニタリング:ケアマネが定期的に様子を確認し、プランが合っているか見直すこと。

④ 在宅で使うサービスの用語

訪問介護(ホームヘルプ):ヘルパーが自宅を訪れ、身体介護(入浴・排泄など)や生活援助(掃除・調理など)を行う。

訪問看護:看護師が自宅を訪れ、健康管理や医療的なケアを行う。

訪問リハビリ:理学療法士などが自宅を訪れ、リハビリを行う。生活の場での機能訓練。

訪問入浴:専用の浴槽を持ち込み、自宅で入浴を介助するサービス。

デイサービス(通所介護):日帰りで施設に通い、食事・入浴・レクを受ける。家族の休息にもなる。

デイケア(通所リハビリ):日帰りで通い、リハビリを中心に受ける。医師のいる施設で行う。

居宅療養管理指導:医師・薬剤師などが自宅を訪れ、療養上の管理・指導を行う。

⑤ 施設サービスの用語

特別養護老人ホーム(特養):原則要介護3以上が対象の公的施設。費用が比較的安く、人気で待機も多い。

介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指す、リハビリ中心の施設。原則は一時的な入所。

介護付き有料老人ホーム:スタッフが常駐し、介護サービスが受けられる民間施設。

住宅型有料老人ホーム:生活の場を提供し、介護は外部サービスを利用する民間施設。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅):安否確認・生活相談が付いた高齢者向けの賃貸住宅。

グループホーム:認知症の方が少人数で共同生活を送る施設。

ショートステイ(短期入所):短期間だけ施設に泊まれる。家族の休息や急用のときに使える。

施設は種類が多く、費用も入居条件も大きく違います。名前の似た「特養・老健・有料」の違いで迷ったら、まずは情報を早めに集めておくと、いざという時に慌てずに済みます。

⑥ 食事・栄養に関する用語

嚥下(えんげ):食べ物や飲み物を「飲み込む」こと。この力が落ちると食事に注意が必要になる。

誤嚥(ごえん):食べ物や飲み物が、食道ではなく気管に入ってしまうこと。むせる原因。

誤嚥性肺炎:誤嚥が原因で起こる肺炎。高齢者では命に関わることもあり、口腔ケアが予防に大切とされる。

とろみ剤:飲み物などにとろみをつけ、飲み込みやすくする粉。むせやすい方に使う。

ムース食・嚥下食:飲み込みやすいよう、やわらかく形を変えた食事。

「嚥下」と「誤嚥」は一文字違いで意味が真逆。飲み込むのが嚥下、間違って気管に入るのが誤嚥。ここは混同しやすいところです。

飲み込む力が落ちてきて、毎食のやわらか調理が負担なら、嚥下に配慮した宅配食を使う方法もあります。

⑦ お金に関する用語

負担割合:介護サービスを使ったとき、自分で払う割合。所得により1〜3割。

区分支給限度額:要介護度ごとに決まった、1か月に保険で使えるサービスの上限。超えた分は全額自己負担になる。

高額介護サービス費:1か月の自己負担が一定額を超えたとき、超過分が払い戻される制度。上限は所得による。

住宅改修費:手すりの設置や段差解消などの工事に、上限20万円まで保険から補助が出る仕組み(原則1回)。

介護休業給付金:家族を介護するため仕事を休んだとき、雇用保険から支給されるお金(休業前賃金の約67%が目安)。

お金に関する制度は、申請しないともらえないものがほとんどです。金額や上限は改定されることがあるため、詳しくは市区町村やケアマネに確認してください。

⑧ 認知症に関する用語

MCI(軽度認知障害):認知症の一歩手前の状態。日常生活は送れるが、もの忘れなどが目立つ。

BPSD(行動・心理症状):認知症にともなう、徘徊・興奮・不安などの症状。周辺症状とも呼ばれる。

見当識障害:今の日時・場所・人などが分からなくなること。認知症の代表的な症状。

長谷川式(HDS-R):認知症のスクリーニングに使われる簡易検査。30点満点で、点数が低いほど疑いが強まる。

パーソン・センタード・ケア:本人を中心に、その人らしさを尊重する認知症ケアの考え方。

⑨ ADL・QOLに関する用語

ADL(日常生活動作):食事・排泄・入浴・移動など、生活の基本動作。介護の場でとてもよく使う言葉。

IADL(手段的日常生活動作):買い物・料理・掃除・金銭管理など、より複雑な生活動作。

QOL(生活の質):その人がどれだけ満足して、その人らしく生きられているか。

サルコペニア:加齢などで筋肉量・筋力が低下した状態。転倒や要介護のリスクを高める。

フレイル:心身が弱り、介護の一歩手前になった状態。早く気づけば元に戻せることもある。

⑩ その他よく聞く用語

地域包括支援センター:介護の総合相談ができる無料の公的窓口。「どこに相談すれば」と迷ったらまずここ。

MSW(医療ソーシャルワーカー):病院にいる相談員。退院後の生活や介護への橋渡しをしてくれる。

褥瘡(じょくそう):いわゆる「床ずれ」。長時間同じ姿勢で圧迫され、皮膚がただれること。

レスパイトケア:介護する家族が休息するための支援。ショートステイなどを活用する。

看取り(みとり):最期のときまで、本人に寄り添ってケアすること。

【つまずきポイント】間違えやすい・似ている用語の違い

家族が混乱しやすいのは、「名前が似ているのに中身が違う」用語です。ここを押さえると、説明がぐっと分かりやすくなります。

まぎらわしい用語ちがい
要支援 と 要介護要支援は「予防中心・軽め」、要介護は「介護が必要」。使えるサービスも上限も違う
嚥下 と 誤嚥嚥下は「正しく飲み込む」、誤嚥は「気管に入ってしまう」。逆の意味
特養 と 老健特養は「生活の場(長く住む)」、老健は「在宅復帰のためのリハビリ(一時的)」
デイサービス と デイケアデイサービスは「生活の世話が中心」、デイケアは「リハビリが中心」
ADL と IADLADLは「食事・排泄など基本動作」、IADLは「買い物・料理など応用動作」

用語が分からないときの対処法

それでも分からない言葉は必ず出てきます。そんなときは、こうしてください。

  • その場でケアマネに聞き直す。「すみません、それはどういう意味ですか?」でOK。プロは説明する義務があります
  • 分からないまま返事をしない。曖昧なまま同意すると、後で「そんなつもりでは」となりがち
  • 地域包括支援センターに相談する。制度も用語も、無料でかみ砕いて教えてくれる
「こんなことも分からないのか」と思う必要はまったくありません。分からないと言える家族のほうが、いい介護につながります。

まとめ|分からない言葉が出てきたら、また戻ってきて

介護の用語は多いですが、家族が最初から全部知っている必要はありません。

  • まずは「最初の10語」だけ覚える
  • 似ている用語(要支援と要介護、特養と老健など)の違いを押さえる
  • 分からない言葉は、その場でケアマネに聞き直す
  • この記事をブックマークして、必要なときに該当項目を見に来る

言葉が分かると、説明が理解でき、必要なサービスにたどり着けます。焦らず、一つずつで大丈夫です。

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※本記事は用語をやさしく理解するための一般的な解説です。制度の対象条件・金額・上限は改定されることがあり、詳細は市区町村・地域包括支援センター・ケアマネジャーにご確認ください。内容は2026年7月時点の情報にもとづいています。

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この記事を書いた人

リハウルフのアバター リハウルフ 理学療法士/ケアマネ

理学療法士(2010年取得・16年目)。通所リハビリ、訪問看護ステーション、訪問リハビリ、介護医療院、回復期リハビリ病棟で勤務。うち12年が在宅の現場で、訪問したお宅は1,000件を超えます。『リハコネ式!訪問リハのためのルールブック』監著・編集。2026年に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。

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