「要支援と要介護って何が違うの?」「ケアプランってどこで作るの?」「ショートステイとデイサービスってどう違うの?」──介護の入り口で、誰もがぶつかる 「用語の壁」 。
私はケアマネジャーとして、何百組ものご家族とお話しする中で、用語の難しさが「最初の挫折ポイント」になっているのを何度も見てきました。介護の用語さえ理解できれば、その後の動きが10倍スムーズ になります。
この記事では、現役ケアマネ&PTが「家族が最初に知っておくべき介護用語50」を、難しい言葉を使わず、お茶の間レベルでやさしく解説します。ブックマークしておいて、分からない言葉が出てきたらすぐ戻ってこれる用語辞典として使ってください。
カテゴリ① 介護のレベルに関する用語
介護の世界では「介護がどれくらい必要か」を段階で表します。まずここから。
要支援(ようしえん)
「介護まではいかないけど、見守りや少しの手助けが必要」な状態。要支援1(軽い)と要支援2(やや重い)の2段階。介護保険の予防サービスが使えます。
要介護(ようかいご)
「日常生活に介護が必要」な状態。要介護1〜5までの5段階で、数字が大きいほど介護の必要度が高いです。要介護5は「ほぼ寝たきり」のイメージ。
自立(じりつ)
「介護も支援も必要ない」状態。介護保険の認定で「非該当」と出るとこの扱い。でも、地域の高齢者支援サービスは使えます。
カテゴリ② 申請・手続きに関する用語
役所や包括センターでよく聞く用語です。
要介護認定
「介護がどれくらい必要か」を判定するための公的手続き。市区町村に申請して、約1ヶ月で結果が出ます。これを取らないと介護保険サービスが1割負担で使えません。
認定調査
要介護認定を申請すると、市区町村の調査員が自宅に来て、本人の状態を1時間ほど聞き取り&観察すること。家族の同席が必須です。
主治医意見書
要介護認定の判定に使われる、医師が書く意見書。市区町村から主治医に依頼が行きます。家族は何もしなくてOK。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
「ケアマネ」の正式名称。介護保険サービスを使うための ケアプラン を作る専門職。家族にとって最も頼れる相談相手になります。
地域包括支援センター
市区町村が設置する 高齢者と家族のための総合相談窓口。略して「包括」「包括センター」と呼ばれます。介護のすべての入口で、相談料は完全無料。
カテゴリ③ 計画・プランに関する用語
介護を「計画的に」進めるための言葉。
ケアプラン
ケアマネが作成する 介護計画書 。「どのサービスを、いつ、どれくらい使うか」を1ヶ月単位で組み立てます。家族と本人の意向を聞いた上でケアマネが提案してくれます。
モニタリング
ケアマネが月1回以上、自宅を訪問して本人の状態とサービスの使い方をチェックすること。「うまくいってるか」「変更が必要か」を確認します。
サービス担当者会議
新しいサービスを始める時や、ケアプランを見直す時に開かれる会議。本人・家族・ケアマネ・サービス事業者が集まって意向をすり合わせます。
カテゴリ④ サービス(在宅)に関する用語
自宅で受けられる介護サービスの種類。
訪問介護(ほうもんかいご)
ヘルパーさんが自宅を訪問して、入浴・排泄・食事・掃除・買い物などを手伝ってくれるサービス。「ホームヘルプ」とも呼ばれます。
訪問看護
看護師さんが自宅を訪問して、医療的なケア(薬の管理・点滴・床ずれ処置など)を行うサービス。医師の指示書が必要です。
訪問リハビリ
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅を訪問して、リハビリを行うサービス。歩行訓練や嚥下訓練など。
デイサービス(通所介護)
日中、施設に通って入浴・食事・レクリエーションを楽しめるサービス。送迎付き。家族のレスパイト(休息)にもなります。
デイケア(通所リハビリ)
デイサービスとほぼ同じだが、リハビリに特化 したサービス。医師がいる施設で行われます。
ショートステイ
短期間(1日〜30日)施設に泊まれるサービス。家族の旅行・冠婚葬祭・体調不良時に使えます。
福祉用具レンタル
介護ベッド・車椅子・歩行器・手すりなどを介護保険で安くレンタルできるサービス。月数百円〜数千円。
カテゴリ⑤ サービス(施設)に関する用語
施設に入居して受けるサービス。
特別養護老人ホーム(特養)
社会福祉法人が運営する、要介護3以上向けの公的施設。月8〜13万円と安い ですが、入居待ちが長い場合が多い。
介護老人保健施設(老健)
医療ケア+リハビリ中心の施設。「在宅復帰のためのリハビリ施設」 という位置づけ。原則3〜6ヶ月の利用。
介護医療院
医療依存度の高い高齢者向けの施設。長期療養が可能。
有料老人ホーム
民間が運営する施設。「介護付き」「住宅型」「健康型」の3タイプがあり、月15〜30万円が相場。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリー賃貸住宅+安否確認・生活相談がついた住居。介護サービスは外部の事業所と契約。
グループホーム
認知症の方が少人数(5〜9人)で共同生活する施設。家庭的な雰囲気が特徴。
カテゴリ⑥ 食事・栄養に関する用語
食事関連でよく聞く言葉。
嚥下(えんげ)
「飲み込むこと」。年齢とともに嚥下機能が落ちると、誤嚥性肺炎のリスクが上がります。
誤嚥(ごえん)
食べ物や水が気管に入ってしまうこと。続くと 誤嚥性肺炎 になり、高齢者の死因の上位。
とろみ剤
水や味噌汁にとろみをつける粉末。誤嚥予防の必需品。
きざみ食・ペースト食
噛む力が弱くなった方向けに、細かく刻んだり、ペースト状にした食事のこと。
ムース食
見た目は普通食に近いけれど、舌でつぶせるやわらかさの食事。やわらかダイニングなどの宅配弁当でも対応あり。
カテゴリ⑦ お金に関する用語
介護のお金まわり。
自己負担割合
介護保険サービスを使ったときの自分が払う割合。所得に応じて 1割・2割・3割 が決まります。
区分支給限度基準額
介護度別に「介護保険で使えるサービスの上限額」のこと。例:要介護2 = 月19万7,050円まで。
高額介護サービス費
1ヶ月の介護費用が上限を超えた場合、超過分が後から戻ってくる制度。自治体に申請が必要。
介護休業給付金
家族の介護のために仕事を休んだ時、給与の67%が最大93日もらえる制度。雇用保険から支給。
カテゴリ⑧ 認知症に関する用語
認知症ケアでよく聞く言葉。
BPSD(行動・心理症状)
認知症の周辺症状のこと。徘徊・暴言・不眠・幻覚など。中核症状(記憶障害・見当識障害)と区別されます。
見当識障害(けんとうしきしょうがい)
「今が何時か」「ここはどこか」「相手は誰か」が分からなくなる症状。認知症の代表的な症状。
取り繕い反応
認知症の方が、答えが分からないことを隠すために適当に話を合わせる行動。要介護認定の調査員の前で取り繕って、軽く判定されることも。
成年後見制度
判断力が落ちた方の財産・契約を守る公的制度。家族信託より手続きが厳格。
カテゴリ⑨ ADL・QOLに関する用語
専門職がよく使う用語。
ADL(日常生活動作)
「歩く」「食べる」「着替える」「トイレ」「入浴」など、日常生活の基本動作のこと。リハビリで重視される指標。
IADL(手段的日常生活動作)
ADLの上位概念で、「買い物」「掃除」「服薬管理」「電話」など、より複雑な生活動作のこと。
QOL(生活の質)
「人生をどれだけ豊かに送れているか」の指標。介護の最終目的は「ADLを保つ」ではなく「QOLを高める」こと。
寝たきり
ベッドから起き上がれず、ほぼ全介助が必要な状態。要介護4〜5に該当することが多い。
廃用症候群(はいようしょうこうぐん)
長期間動かないことで筋力・体力・精神機能が低下する状態。「動かさないとどんどん動けなくなる」病気。
カテゴリ⑩ その他よく聞く用語
最後に、現場でよく出てくるその他の言葉。
バイタル
体温・血圧・脈拍・呼吸など、生命に関わる基本数値の総称。施設・訪問看護で毎回チェック。
床ずれ(褥瘡:じょくそう)
長時間同じ姿勢でいることでできる皮膚の傷。寝たきりの方に多い。
摂食嚥下リハビリ
噛む・飲み込むの機能を維持・回復させるリハビリ。言語聴覚士(ST)の専門。
レスパイトケア
家族介護者の 休息 を目的としたサービス。ショートステイなどが該当。
キーパーソン
家族の中で、ケアマネ・施設・病院との 窓口を担う人 のこと。1人に絞るのが鉄則。
まとめ|分からない言葉が出てきたら、また戻ってきてね
介護の世界は、最初は本当に「外国語」みたいに聞こえます。でも、この50語さえ理解できれば、ケアマネとの会話、包括センターでの相談、施設での説明が、 8割理解できる ようになります。
🍀 ブックマーク推奨 このページを「介護のお守り」としてブックマークしておいて、分からない言葉が出てきたら、また戻ってきてください。 何度読んでも、新しい発見があります。
よく分からない用語があったら、まずは ケアマネさん や 地域包括支援センター に「これってどういう意味ですか?」と素直に聞くのが一番早い です。プロは丁寧に教えてくれます。
